~オリックス、イチロー事実上の引退 の巻~
事実上の引退
米大リーグのマリナーズは3日、イチロー外野手(44)=本名鈴木一朗=が球団の特別補佐に就任し、今季の残り試合には出場しないと発表した。同日にメジャー出場の前提となる40人枠を外れた。来季以降の試合には出場する可能性があるという。
この日の試合前に報道陣に対応したイチローは「大好きなチームがこの形を望み、それが彼らの一番の助けになるということであれば喜んで受けようという経緯。野球の研究者でいたいと言うか、自分がこの先どうなっていくのかを見てみたい」と述べた。これまで通り、チームとともに練習を続けながら、選手のサポートをする。マリナーズは来年3月に東京ドームでアスレチックスと開幕戦を行うことが決まっている。
イチローは今年3月に2012年7月まで在籍したマリナーズへ6季ぶりに復帰。今季は2日までの29試合のうち15試合に出場したが、44打数9安打、打率2割5厘と低調な成績だった。故障していた外野手が復帰したため出場機会が減っていた。(5月4日/時事通信)
以前のケン・グリフィー・ジュニアのように、
古巣のマリナーズに戻った時点で、イチロー自身も決意していたのでしょう。
オリックスOBのレジェンド・イチローが球団会長付特別補佐に就任。
今季の残り試合出場しない旨を発表。
事実上の引退です。
今年一年実戦から遠ざかり来年復帰できるほど、メジャーが甘くないのはイチローが最も分かっていること。
現役にこだわるのであれば、マリナーズからのこの寛大な申し入れを峻拒し次の働き場を探せばよいだけ。
それをしないのは、
その困難さをイチロー自身が知悉しているから。
米国野球殿堂入り
29試合中15試合に出場し、44打数9安打、打率,205。
4月23日のレンジャーズ戦。
3打数2安打で、(いまのところ)現役最後のヒットとなったその2本はいずれも内野安打。
それ自体はイチローの代名詞ゆえ問題ないものの、その内容があまりにも寂しすぎ、
イチローの衰えをひしと痛感していました。
メジャー通算3000本安打。
今後「3000 hit club」に日本人が加わることはほぼないでしょう。
日本人として初となる米国野球殿堂入りも確実視されるイチロー。
異国でも、比類なき数字を残してくれました。
球団会長付特別補佐
ただ残念なのは、イチローのなんとも不可思議ないまの立場(球団会長付特別補佐)。
練習はいままでと変わらず選手とともに行い、試合になるとダグアウト裏で観戦。
このやり方で、果たして、自身が目指す「野球の研究者」になりうるのか。
ケン・グリフィーにすら提示されなかった異例の契約。
それを蹴ってグラウンドで白球を追うことを選ばなかった理由は、結局は、マリナーズの来シーズンの東京ドームでの開幕戦に結びつくのでしょう。
最後に、日本でイチローの雄姿を観られることは嬉しいことですが、
イチローが日本復帰を選んでいたならば、今季中にイチローの雄姿を観れたのもまた事実。
劇薬
(いまのところ)マリナーズと生涯契約ということで、オリックスのユニフォームに袖を通すということはなくなりました。
もしイチローがオリックスに戻ってきていたならばと仮定すると、
即時的には善悪どちらに転ぶか分からないにせよ、
大きな化学変化を起こしたことは間違いないでしょう。
選手としての誇り高さ、
異次元の技術。
さらには簡単に人を寄せ付けない空気感。
毎年ほぼ借金生活のこのチームには劇薬でしかありません。
ただ、
一つ言えることは、
世界最高峰にまで上り詰めた選手と一緒にプレーすることは、
長期的にみれば必ずチームにとってプラスとなるということ。
「ボクが一体、いくら貰っていると思っているんですか?」
私がイチローの言動の中で最も好きなのは、
「なぜ怪我しないんですか?」と問われたときに、
「ボクが一体、いくら貰っていると思っているんですか?」と反問したというエピソード。
この短いことばの中に、イチローの全てが含有しているといってもおかしくなく。
阪急オリックスの常勝時代を知る福良と田口が、
20年の負の歴史において腐蝕した土を入れ替えようと努力しているいま、
イチローという化学薬品の投入があればと、私自身期待していたのは事実。
しかし、それは叶いませんでした。
日本一
上述の通り、イチローの現状については腑に落ちない部分もありますが、
だからといって、イチローが残した記録と記憶が汚れることはけっしてなく。
これから時を重ねるにつれ、
イチローが歴史上の人物に近づいていくたびに、
その輝きは今以上に燦然たるものとなっていくことでしょう。
イチローにとっての故郷は、オリックスよりも長くそのユニフォームに袖を通したマリナーズでしょうが、
私が思い出すのはやはり、Blue Waveのユニフォームを身にまとったイチローの姿。
オリックスを日本一に導いてくれてありがとう。
事実上引退のイチローにかける言葉として、
どうしてもこの謝意が浮かんできます。
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