~オリックス、佐野皓大・中川圭太・伏見寅威! の巻~
奇跡
昨年の開幕カードの屈辱を雪がんと先発・榊原が好投。
しかし今日もまた、点が取れない。
いい当たりは多くあったもののことごとく野手の正面を突く。
吉田正尚と杉本の一発以外点が入りそうな気がしないのが、いまのオリックス。
1点ビハインドの八回、その吉田が倒れ、九回クローザー森相手では杉本のバットは空を切る。
敗色濃厚、どころか敗戦、4連敗、借金5ほぼ確定で迎えた九回表。
奇跡が起きました。
韋駄天vs甲斐キャノン
先頭の宮崎が死球で出塁。
インハイのボールをほぼ避けず。
打線強化のために上がってきた宮崎祐樹。
あわや満塁本塁打の犠飛も放ち、さっそく上げた甲斐がありました(また、上げた当初は高確率で活躍します)。
となると、ここは当然、代走・佐野皓大。
相手は球界ナンバーワンの強肩・甲斐。
韋駄天vs甲斐キャノン。
球界屈指の俊足と日本一の強肩捕手。
この対決、二球目に盗塁仕掛け、軍配は佐野に上がりました。
変化球だったとはいえ、タッチもできないくらいに悠々のセーフ。
甲斐ではかなり珍しいのでは。
無死二塁。
佐野の常識外のスピードで一打同点のチャンス。
迷わずゴー
続くバッターは打撃好調の小島脩平。
引っ張ってほしいところでしたが、外のストレートに合わせただけのバッティングでショートゴロ。
セカンドランナー、自分の右側への打球では三進を自重するのが野球の常識。
しかし佐野、迷わず一目散にゴー。
今宮も一瞬サードを見やるも、間に合わないとみて一塁へ。
佐野には常識が通用しない。
そしてその無鉄砲な積極性こそが、佐野の最大の魅力。
中川圭太
一死三塁となり、バッターはルーキーの中川圭太。
プロ初スタメンで初安打を放った中川も、ただ相手はここまで今季無失点の森。
普通に考えて荷が重い。
それでも中川、意地で粘り、ナックルカーブにカットをファールで凌いで3-2。
体が開き気味で外カットを投げられたら終わりと思っていたところ、10球目にその外カット。
観念しましたが、中川まるで狙っていたかのようにバットを合わせ、打球はファーストの頭上を越えライン際に転がるスリーベース。
まさかの同点劇。
陳腐な言い方ですが、さすがPL出身。
スタメン起用にしっかりと応えてくれました。
三進
この中川のスリーベース、タイミング的にはアウト。
しかしバウンドが合わず松田のタッチが遅れたおかげでセーフに。
この三進が実に大きかった。
バッターは伏見寅威。
スクイズもありうる場面、甲斐も一球外しました。
中川が三塁まで行ったおかげでボール一つ稼ぎ、カウントはまたしても3-2に。
伏見、7球目のカットを捉え、一塁手のグラブを抜ける勝ち越しのタイムリー。
一塁へ駆け込む伏見、満面の笑みとともにガッツポーズ。
我武者羅さ
一昨日の試合で五番に抜擢されながら全く仕事ができなかった伏見。
それゆえ、このタイムリーは伏見にとって喜びも一入のはず。
中川にしても伏見にしても、大振りすることなく、とにかく意地でもバットに当てるという気合が打席で感じられました。
若手選手のこのような我武者羅さは観ていて気持ちがよく、さらに結果も伴えば我がごとのように嬉しい。
大城も自ら腕を出し、死球を狙うというシーン(判定はボール)もありました。
このような前向きな姿勢が、ファンが最も望んでいたものです。
大きな一勝
最後は増井が三者凡退で締め、連敗を3でストップ。
広島のような爆発力がないチーム、ここでも敗れればずるずるといってしまう可能性も十分にありました。
20歳の榊原がソフトバンクを7回2失点に抑え、
22歳の佐野が我が物顔でダイヤモンドを疾駆し、
ルーキー23歳の中川が同点タイムリー、
そして28歳の中堅どころの伏見が勝ち越し打を放つ。
これほどまでに若者が中心になりチームを勝利に導いた試合は近年なかったのでは。
連敗阻止、そしてそれ以上に大きな意味を感じる今日の逆転劇。
大きな大きな、一勝です。