~オリックス、「オリックスに必要なのはピリピリした緊張感」 の巻~
鈴木康友
現役時代は3球団で内野のユーティリティとして活躍し、引退後は5球団でコーチを務めた、鈴木康友氏のコラム「プロ野球セオリー&メモリー」。
ここでオリックスの2020年キャンプについての記述があったのでいくつか引用させていただきます。
タイトルは「2020キャンプレポ。オリックスに必要なのはピリピリした緊張感」。
ピッチャーは山本由伸(最優秀防御率)と山岡泰輔(最高勝率)と2人のタイトルホルダーがいて、打者では最後まで首位打者争いを演じた吉田正尚などイキのいい選手が揃っています。中継ぎ、抑えと試合後半に投げるピッチャーが整えば十分、上位を狙えます。
ただ、ひとつ気がかりなのがチーム全体がのんびりしていることです。昨季、最下位ですからキャンプはもっとピリピリしていてほしい。巨人はリーグ優勝を果たしましたが、日本一を逃したことでキャンプ地にも緊張感があります。チームの伝統なのか、どうもオリックスは緊張感という面で物足りないですね。
2014年を除き、ここ数年ずっと感じていたチームに漂う緊張感のなさ。
ぬるま湯
大した成績を残さずともそれなりの給与がもらえる不思議なチーム。
仲の良さは長所も、それは選手間に競争が生まれないという短所も併せ持ち、傷の舐め合いだけは上手になっていく。
チーム成績と関係なく今オフもなぜか給与アップが続き、結果選手個々に責任感は生まれず、まだまだぬるま湯が続いている様子。
昨年は5勤1休と他球団に比べ休みの少ない春季キャンプでしたが、それは結果として表れなかったためか、今季は他球団と変わらずのキャンプ。
主力の自主トレに参加した若手によく言われることば、「レギュラーと同じことをやっていては追い抜くことはできない」。
これは個にのみならずチームにも言えることで、
他球団と同じことをやっていては追い抜くことはできず、万年Bクラスのチームが劇的に変わることはない。
「チームの伝統なのか、どうもオリックスは緊張感という面で物足りない」
しかも、「チーム全体がのんびり」と鈴木は一刀両断。
複数チームでコーチを務めた鈴木康友のことばゆえに重みも違う。
「チームの伝統なのか、どうもオリックスは緊張感という面で物足りない」
緊張感のなさがチームの伝統に由来するという鈴木の発言は、阪急時代を知る者にとっては厳しいし、悲しい。
そういえば鈴木はかつてオリックスのコーチも務めていました。
伊原時代。
かつての常勝時代を知る選手がほとんどいなくなった、いわゆる暗黒期。
鈴木のオリックスについての印象は、内部から見たその当時の記憶が根拠となっているのかもしれません。
「……」
オリックスのように負け癖がついているチームには、起爆剤となるようなプレーヤーが必要です。しかもリーダーとしてガンガン引っ張っていくような存在が。年齢的には安達了一やT-岡田あたりがその役目を担ってもらいたのですが……。福岡ソフトバンクは伝統的にリーダーがいますよね。以前なら川﨑宗則で、今は内川聖一。投手陣にも斉藤和巳というリーダーがいました。
チームリーダーの不在。
生え抜きリーダーが育っていないのを分かっていたから、中島や小谷野といった実績十分の選手にその役割を任せようとするも、試合に出れない以上それは困難。
鈴木の言うように年齢的には安達にTにそこを担ってもらいたいものも、闘志を内に秘めるタイプの二人は適任とはいえず。
メンタルに異常をきたすくらいに無理をしていた川崎やもともと内気だった松田のように、チームのために無理をしてまでというほどの気概も感じられず。
だから無理をして二年目の福田をキャプテンに指名するも、二年目の選手にはやはり無理。
「年齢的には安達了一やT-岡田あたりがその役目を担ってもらいたのですが……」の「……」の意味深長さ。
大病を患う鈴木の一言一言はなかなか重い。