~オリックス、オープナー戦略② の巻~
オープナー
~オリックス、オープナー戦略① の巻~~オリックス、オープナー戦略① の巻~の続き。
2018年、レイズが生んだオープナー戦略。
昨シーズンのMLBでもオープナーは大幅増。
昨年、オリックスもオープナーの派生形であるブルペンデーを試みました。
効果的な戦略ともいえますが、個人的には、現状の日本球界では積極的に採用すべきものでなし。
上位打線
前回の記事(~オリックス、オープナー戦略① の巻~~オリックス、オープナー戦略① の巻~)でも書きましたが、オープナーの最大の目的は、強力な上位打線を抑えることで初回の失点を防ぐこと。
二番最強論が主流となっているメジャーにおいては上位打線は強力。
しかし、いまなお犠打中心の旧型二番が散見されるNPBの上位打線はMLBほどの恐怖感はなく、メジャーほどの必要性を感じません。
ただ、これは今後、経験でしか物がみれない価値観の古い監督が駆逐され二番最強論が主流となれば変わっていく点でもあります。
登板間隔
あとは、MLBの中4日とNPBの中6日という登板間隔の差。
アクティブロースターが25人というメジャーの選手数の少なさと、月曜が常に休みとはならない過密日程が必然的に先発投手の登板間隔を短くし、だからこそ、過酷な先発投手を休ませるという意味でもオープナーは用いられました。
特にレイズはマイナーオプションのある選手をとっかえひっかえ入れ替え、ブルペンの疲労軽減にも配慮。
それにひきかえ、週1回の登板でいいNPBの先発投手。
登板間隔が緩いという土台の違いがあるにもかかわらず、先発投手は100球を限度とし、先発投手の年俸評価の一環としてメジャーと同じ6回3失点のクオリティスタートを主張する選手すらいます。
ブルペン陣の負担増と先発陣の矜持
そういえば、NHK球辞苑でも、日本ではエースとして米国ではクローザーとして一時代を築いた上原浩治も、オープナー戦略には反対の立場をとっていました。
その視点は、ブルペン投手の負担増と先発陣の矜持の低さから。
投手の故障率を考えても、やはり中継ぎ陣の負担は大きく、さらには年俸面も報われないことが多い。
NPBの先発投手は、自らが恵まれた環境にいると自覚すべき。
ブレイク・スネル
このオープナー戦略、増えることはあっても主流にはならないでしょう。
オープナーが生まれた2018年のMLB。
アリーグサイヤング賞に輝いたのは、21勝5敗防御率1.89と圧倒的な成績を残した、”スネルジラ”こと、タンパベイ・レイズのブレイク・スネル。
オープナーを生んだレイズに生まれたサイヤング賞投手。
そしてそのエースの(2019年シーズンは低迷したものの)価値をレイズGMも十分に認識しています。
両エース
オリックスには、2019年最高勝率の山岡泰輔と最優秀防御率の山本由伸という両エースがいます。
彼らは幸運にも先発投手としての志の高さを備えています。
そしてそれは中継ぎで日々備えた経験があるから。
ブルペン投手の負担増を知ったことで先発としての矜持が生まれた両エース。
オープナー戦略を一蹴できる投手が二人いる。
にもかかわらず最下位。