~オリックス、ヒューストン・アストロズ、世界一への道③(タンキング) の巻~
ドラフト1位
アストロズ世界一に大きく貢献したコア4。
アマチュアFAとして契約したアルトゥーベを除き、ジョージ・スプリンガーが2011年ドラフト1位(全体11位)、カルロス・コレアが2012年ドラフト全体1位、アレックス・ブレグマンが2015年ドラフト1位全体2位指名。
1000人を超える指名がある全米ドラフトにおいて、ドラ1、そのなかでも全体上位の選手の価値は非常に高く、フロントも大きな期待を寄せています。
3年連続全体1位指名
そのなかでも最も注目度・期待度が高いのが、当然全体1位の選手(なお、2014年オフの大補強でオリックスに加入したバリントンも全体1位の選手でした)。
日本と異なり完全ウェーバーのアメリカ。
くじ引きはなく、前年最も成績の悪いチームから指名しくルール。
ドラフトの目的である戦力均衡という観点だけでみればそれは至極当然のこと。
そしてその全体1位の指名権を2012~2014にわたり史上初めて3年連続で得たのがアストロズ。
それだけチームが低迷していたことの証左ですが、ここにはからくりがあり、峠を越えた感のあるベテラン選手や伸びしろの少ない中堅選手を徹底的に放出し、ある種意図的にチームを低迷させる(タンキング)ことで全体1位のプロスペクトを獲得しました。
タンキング
その全体1位を指名し続けた3年間。
ただ、結果的にはタンキングが奏功したとは言い切れない部分もあります。
2012年のコレアは期待に応えましたが、2013年のマーク・アペルはメジャー昇格することなく引退。
2014年のブレイディ・エイケンは指名後肘の異常が見つかったことで契約金を減額した結果交渉不成立(同様の理由でアトランタの1位指名を拒否しソフトバンクに入団したのがスチュワート・ジュニア)。
エイケンの入団拒否により翌年全体2位で指名したのがブレグマンなのでこちらは完全に失敗とは言い切れませんが。
解体と再建
意図的に戦力を低下させる(といってもそれなりに計算できるベテラン勢を放出するだけでなく、有望な若手に出場機会を与え積極的に起用しています)ことで、全体1位のトッププロスペクトを獲得し、それをチーム再建の象徴・足掛かりとしたアストロズのタンキング。
シカゴ・カブスも同様にチームを解体し、2016年の世界一に結びつけています。
カブス、アストロズの成功により、近年のメジャーではタンキングが大流行。
シーズン開幕前から地区優勝すら放棄したようなチームが散見され、それがメジャーの観客減の一因となっています。
2019年のオリックスバファローズ
このタンキング。
意図的か否かの差はあれど、同じように若手を積極的に登用した(せざるを得なかった)チームが太平洋を渡った日本にもあり。
2019年のオリックス・バファローズ。
結果パリーグ最下位、勝率.449はヤクルトに次いでブービー。
タンキングが日本でも流行するかについてなど、タンキングらしきことを行ったオリックスに絡め書きたかったのですが、また次回。
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