~オリックス、福良GMインタビュー⑥「オリックス低迷の原因と受け継ぎたい「古き良き伝統」」 の巻~
弱いチームほど
~オリックス、福良GMインタビュー「急場凌ぎの補強はしない」① の巻~、~オリックス、福良GMインタビュー「急場凌ぎの補強はしない」② の巻~、~オリックス、福良GMインタビュー「急場凌ぎの補強はしない」③ の巻~、~オリックス、福良GMインタビュー「急場凌ぎの補強はしない」④ の巻~、~オリックス、福良GMインタビュー⑤「オリックス低迷の原因と受け継ぎたい「古き良き伝統」」 の巻~に続く福良GMインタビュー第6弾で、最終章。
選手って、首脳陣にああだこうだ言われるよりも、選手同士で話をしたほうが響くところがあるんです。年上の選手が年下の選手にこういう野球が大切だとか、こういうことを考えて野球をするんだということを教育されて成長していく……それがチームの伝統やと思います。コーチが言うのと選手が言うのとでは、まったく効果が違うんです。ロッカーで『あのプレーはアカン』と先輩がちゃんと指摘して教育していかないと、チームの色や伝統を受け継ぐことはできません」(Sportiva)
このチームには若手を教育すべき立場の「年上の選手」に当たるベテラン選手がほぼいません。
低迷続くチームにおいては個人成績の振るわない選手が当然に多いわけで、であるならば年長者が先にチームを去っていくのはある意味自然なことで、選手構成ピラミッドグラフは年齢下層が増えてきます。
弱いチームほど伝統の継承が難しくなるのはそのような理由でしょう。
軽重
ただ先日の記事でフロントの自壊と書きましたが、編成部門が自チームの選手と他球団の選手の軽重を見誤ったケースも多々。
坂口智隆や金子千尋は別としても、近藤一樹や伊藤光の例はトレードで獲得した選手との活躍具合が雲泥の差で、自らのみる目のなさが戦力ダウンを引き起こしたもの。
彼らがいまこのチームにいれば、いわゆる「年上の選手」としての役割を果たしていた可能性は十分にあったでしょう(特に近藤は)。
アダム・ジョーンズに
―― そうやってイチロー選手や田口選手を叱咤し、教え導いてきた”福良選手”の役割を、では誰に託せばいいのでしょう。
「今のチームは若いだけに、そういうところがとくに欠けていると思います。そのあたりはアダム・ジョーンズにも期待していますし、ピッチャーでは比嘉幹貴、野手ではキャッチャーの山崎勝己の最年長コンビ(ともに37歳)にも期待しています。このふたり、チームのなかでは飛び抜けて年寄りなんですけど(笑)、じつは今のウチが勝つためには欠かせない、大切なピースなんですよ。若い連中を教育できるし、しっかりモノも言えますからね。(山本)由伸や(吉田)正尚にも遠慮せず、言うときはビシッと言ってもらわんとね」
「年上の選手」の役割を(いくらメジャーバリバリだったとはいえ)来日1年目の選手に託すは、過去の編成ミスとチームの長期低迷を証明する寂しい現実。
ここにTや安達の名が出てこないのも同様。
山崎勝己と比嘉幹貴
常勝チームの空気を知る山崎勝己と、生え抜きの比嘉幹貴は確かに「今のウチが勝つためには欠かせない、大切なピース」。
そしてこの両名、もはや遠い昔に感じる2014年の激闘とその張り詰めた緊張感を知る数少ない選手(特に比嘉は最後のマウンドに立っていた投手)。
経験豊富な彼らが常に一軍にいてくれれば、「年下の選手」は多くのことを学べるはず。
ただその若手選手たちに、学ぶ姿勢があればの話ですが。
学ぶ姿勢
以下、比嘉についての沖縄タイムスの記事。
先発投手陣は若手が台頭し、チームからは指導者的な役割も期待される。「僕が入団した10年前と比べ、今の若い子は先輩をなめているね」と苦笑いを浮かべながら、「怒って、それが響いて頑張ろうという世代じゃない。伸び伸びとさせている」と見守る。もちろん、選手としても「まだ負ける気はない」と勝負師の顔をのぞかせた。
昨年のトレードで加入した松井佑介、出ていった武田健吾がともに語っていたオリックスの上下関係の緩さ。
先輩を敬わない空気が充満したなか、はたして学ぶ姿勢が生まれるのか。