~オリックス・平野佳寿、日米通算250セーブで名球会入り の巻~
平野佳寿
7回無失点の好投をみせた山本由伸の後を受けた山岡泰輔が三者連続三振でチームに勢いをつけての八回裏のオリックスの攻撃。
その流れに乗って一死一三塁のチャンスをつくったオリックスの攻撃のなか、一人敵チームを応援していた(と試合後語った)のが、日米通算249セーブの平野佳寿。
この試合入れて残り5試合で本拠地は3試合。
ここで1点でも取られれば(次の投手がピンチを残してからの登板でない限り)この試合でのセーブ機会は喪失。
その平野の祈りが通じ、セデーニョ、若月が倒れ、平野佳寿「WARNING」タイム。
日米通算250セーブ
膝曲げて肩入れての登板前の平野のルーティンから、先頭打者の出塁を許すのもある意味ルーティンか。
無死一塁からニゴロ、三振、一邪飛と3人で片付け、平野佳寿、日米通算250セーブ達成。
250セーブは岩瀬、佐々木、高津に次ぐ4人目と言われれば、その記録の偉大さにただ称賛しかなく。
オリックスバファローズから初の名球会入り。
(個人的に名球会にそれほどの価値を置いていないのですが)野球殿堂入りすらも十分あり得る大記録。
復帰
このオリックス黄金時代。
礎となったのはGM福良と監督中嶋の誕生であることは間違いありませんが、優勝初年度の2021年にチームに復帰したのが平野佳寿。
メジャー移籍前の状態が芳しくなく、クローザーから先発再転向も視野に入れるべきとここでも書き、MLBでの投球を観ていた感想として、チームに戻ってきた年もクローザーとしての期待は薄とも書きましたが、そんな見込みを蹴散らす平野の活躍。
2021年シーズンは序盤状態もう一つも、後半の平野の獅子奮迅の働きがなければ覇権は果たして取れていたかどうか。
連覇となった2022年は、最優秀中継ぎ賞を受賞した2011年にほぼ並ぶWHIP 0.80を記録。
3連覇なった今季は、防御率1.13と(現状)自己ベスト。
アウトロー真っすぐ一本槍だったあの頃の真っすぐはもうありませんが、クローザー・平野佳寿の存在が、チームを勝利に、優勝に、3連覇に導きました。
投球術の変化
今季防御率自己ベストと書きましたが、K/9・K/BBはともに自己ワースト。
にもかかわらずこれだけの貢献をなせたのは、経験値をうまく生かすベテランのピッチングあってこそ。
メジャー行く前後で技術的にどのような変化が平野にあったのかは実際のところ分かりませんが、投球術の変化はみられます。
あの頃の名残で真っすぐを外に放ってカウント稼いで最後はフォークだった基本的攻め方がいまはほぼなく。
それはこの試合での投球(二死目の加藤、三死目のマルティネス)でも明らかでした。
39歳のクローザー
加藤には初球インハイ入れてからの4球続けてアウトローフォークで空振り三振。
それを見せてから次打者マルティネスにはフォーク投げず、高め真っすぐで凡飛。
平然とフォークでカウントを取り、勝負球をストレートかフォークかで迷わせ、真っすぐもフォークも投げ損うことなくほぼキャッチャーの要求通りの高い制球力。
これぞ、39歳クローザーのピッチング。
平野とT-岡田
クローザーの仕事は、何人塁に出そうが、何点取られようが、とにかくリードを保ち逃げ切ること。
精一杯やっているからこそできる、打たれても俯かずの姿勢は投手の範。
平野に祝福の花束を贈った佐藤達也もそうでした。
平野と比嘉の両ベテランが醸し出す優しい空気が若手リリーバーの成長を育むなど、陰日向に平野の果たす役割は非常に大きい。
250セーブ目を挙げたボールは、ファーストT-岡田のグラブに収まり、Tから平野のもとへ。
ドラフト同期の二人、暗黒期のチームを支えたのがこの二人であったことは間違いなく。
だからこそ、平野にTに、ひときわ大きな声援が送られます。
だからこそ、今度こそ、日本一の瞬間そのマウンドに平野がいてくれたら。