~オリックス・金子、退団も の巻~
吐露
シーズン終わって1か月半。
渦中の金子が悩めるその心境を吐露。
オリックス金子千尋投手(35)が21日、大阪市内の球団施設で取材に応じ、自由契約の可能性について、初めて言及した。今季の年俸6億円から、5億円減となる年俸1億円の提示を受けており、球団側と来季について、話し合いを重ねている。「年俸や年数、インセンティブ、そういうことに関して、一切、僕からはそういう話をしていない。そこでもめているみたいに話をされるのは嫌です」と条件闘争による対立は否定した。(日刊スポーツ)
条件闘争とみられてしまうのは、4年前の契約時のごたごたの印象が強いから。
ポスティングを希望しながら国内FA権も行使。
金子としては単純にいろいろな選択肢を増やしたかっただけながら、世間的にはそう取られず。
「オリックスが好きだからこそ」
条件に不満がないならばオリックスと契約すればと思うものの、
36歳の金子にはいろいろと思うところがあり。
「オリックスが好きだからこそ、今、新しくなろうとしているチームにいていいのか。いることによって、マイナスになることもあるんじゃないか。すごく自問自答というか、考えることが多くなった」
中島が抜け小谷野が抜け、
昨年は同級生の平野も去り。
打者は吉田正尚、
投手は山岡泰輔に山本由伸。
選手会長に23歳の若月が就任と、チームは若返り急。
その潮流のなかでベテランの自分がいてもよいのかと金子は自問自答し。
愛するオリックスのことを考えて。
青き炎
「今後、現役を続けていくことを考えても、そう長くないと思っている。今まではチーム第一に考えてやっていた」
現代っ子らしい風貌に超のつく合理主義。
恬淡な印象を受けますが、金子は熱い男。
大石監督最終年、借金20を超えていながら先発から誰かを後ろに回すという愚案を大石が画策。
そのとき唯一手を挙げたのが金子。
2014年のオフの大騒動、
オリックスを思って、
オリックスファンを思って、
金子曰く「提示額としては真ん中ぐらい」のオリックスに残留。
一流投手として陶冶した結果のポーカーフェイスゆえに、その感情が表に出ることはないものの、
燃えたぎる炎が金子の内側にはあり。
灼熱たる赤き炎というよりも、それは冷静なる青き炎。
晩年
「先のことをどうしても考えてしまう。今後、自分がどうしたいのか。自分の目標に一番近づける方法、環境、というのも、ちょっと考えてみようかな、という気持ちもあります。それはもちろん近道はオリックスかもしれないし、正直、それは分からない。そういうふうに考えた時に、自由契約を選択する可能性もあると思います。選択したからといって、球団側からも、残留というのも認めてもらったので、オリックスも考えています」
野球人生の晩年に入っている金子。
そのとき、ふと足を止め、
やらなければいけないことからの束縛を離れ、やりたいことを優先して考えるのは人生でも往々にしてあること。
現在の生活を変えることを恐れその誘惑に目を閉じる者(それもまた一つの勇気)、
はたまたすべてを投げ捨て勝負に出る者。
そして、その結論は、当人が決めたことであればどちらも正しい。
「自分がどうしたいか」「自分の目標」
「自分がどうしたいか」
「自分の目標」
それも一語では言えないのでしょう。
それは、
活躍する同級生の背中をみて、より憧憬が増したであろうメジャー移籍かもしれないし、
近4年の屈辱を雪ぐことかもしれない。
このチームで若き投手の壁であり続けることかもしれないし、
いまだ味わったことのない優勝を経験することかもしれない。
そしてそれは、
以前から公言してきたように、
大好きなこのチームでの優勝なのかもしれない。
いずれにせよ金子の人生、
金子が出した答えが正しい。
悔いのない決断を
今後も話し合いを続ける予定だが、自由契約を要望する可能性を認めた。言葉を詰まらせ、目をうるませる場面もあった。悩めるエースがいかなる結論を出すのか。約30分に及ぶ激白は、苦悩に満ちていた。
「条件闘争ではない」
「言葉を詰まらせ、目をうるませる場面もあった」
そしてなによりも、
「オリックスが好きだから」という強い思い。
それだけで十分です。
山口和男、平野佳寿、小松聖、そして金子千尋。
オリックスを選んで入ってくれた選手にはやはり深い思い入れがあり。
たとえ去るとしても、ありがとうしかなく。
金子には悔いのない決断をしてほしいと、心から思っています。