~オリックス、汚名返上・宗のサヨナラ打で、奇跡の天王山スイープ! の巻~
中5日で田嶋大樹
山本、宮城の好投で天王山2連勝を飾ったオリックス。
首位ソフトバンクスイープを賭けた天王山3戦目の先発は、中5日の田嶋大樹。
相性優先し過ぎによる弊害で登板自体がなかった田嶋。
中10日のロッテ(もしくは楽天)戦、中5日の首位ソフトバンク戦との天王山。
どちらが投手冥利に尽きるかと言えば間違いなく後者。
立ち上がりから力のある田嶋らしい投球で、序盤3イニングを無失点に抑えます。
4点
相手先発は東浜。
初回から真っすぐが垂れ気味で、吉田正尚の溜めて打った先制ツーラン、三回には一番・福田、二番・宗の連打から中川、吉田の連続タイムリーで4点奪い、早々にノックアウト。
試合はここでほぼ決まり、3連勝確定(と思いました)。
無死一三塁で登板したのが百戦錬磨の森唯斗。
頓宮三振、西野いい当たりのショートゴロゲッツーで追加点ならず。
森が呼びこんだソフトバンクへの流れ。
直後の四回表を田嶋がビシッと抑えればその流れも断ち切れたものの、ここでエラーが絡み3失点。
一気に1点差に迫られます。
楽勝からの落胆
四回表いきなりの2連打後、宗がランニングスローで本塁に送球するもワンバンの悪送球。
宗独特の軽快なプレー、ミスになると軽率の誹りを免れず。
ワンテンポ置けるときは置いてもとは思いますが、これが好守を生む宗のリズムでもあり。
さらに六回には無死満塁から若月のパスボールで勝ち越し点を献上し逆転。
大事な試合で4点リードしながらミスでひっくり返される。
楽勝モードからの落胆に、心は折れました。
若月の四球、福田の強攻
六回無死、好調西野のツーベースからの太田犠打はもったいなく、紅林に代えてのTも案の定。
八回は藤井の前に三者連続三振でいよいよ。
そして九回。
先頭の若月が1-2から粘りフォアボールを選び無死一塁。
四球にもかかわらず、まるでサヨナラ打でも打ったかのようにガッツポーズで一塁に駆ける若月。
この先頭出塁の意味を痛いほどに分かってくれていました。
続く福田は初球の真っすぐを引き付けてレフト前に。
惰性的に犠打を選択しなかった中嶋の好判断。
ミス連発の宗佑磨
無死一二塁となって宗。
相手は左投手で捕手はフィールディングのいい甲斐。
犠打ならば余程いいバントでなくてはフォースアウトで刺される場面。
中嶋のサインは犠打で、宗もバントの構えで迎えますが結果は甲斐の好フィールディングで三塁余裕のアウト。
決まれば二三塁となり逆転サヨナラもあるだけに犠打も分かりますが、そう簡単な場面では決してなく。
タイムリーエラーに犠打失敗。
大事な試合でミス連発の宗佑磨。
最後の最後に吉田正尚
中川倒れ、九回二死、最後の最後に吉田正尚。
これで打てねば、打てずにこれで負ければシーズンも終わり、と心底諦めのつくバッターのお出まし。
歩かせればサヨナラもあり、しかしそれでも勝負するには今日の吉田は恐ろしい。
モイネロ・甲斐、そしてソフトバンクベンチの判断は、勝負。
その一球目を軽々とライト前にもっていった吉田正尚。
風岡の意味不明ストップだけが怖かったところも腕回り、二走・福田がホームイン。
九回二死、土壇場で追いつきました。
大事な試合で爆発、大事な場面でタイムリー。
これが主砲。
千両役者。
満塁策
田嶋の後、比嘉から宇田川・山崎颯、阿部、ワゲスパックと繋ぎ、十回は本田仁海。
いつも以上にゆっくりと間を取ったフォームから放たれた快速球は伸び凄く、2奪三振含む三者凡退はオリックスに流れを呼び込む好投。
で、歓喜の十回裏。
西野の巧打、太田の犠打からのピッチャー悪送球で無死一三塁。
ソフトバンクは満塁策を取って伏見、福田、宗で勝負。
満塁で点が入るか否か(もしくは何点入るかは)先頭バッター次第。
その先頭伏見、空振り三振。
二の矢、福田も真っすぐに押され一ゴロであっという間にツーアウト。
ストライク先行の投球で、打者よりも投手有利の状況をつくったレイが見事。
歓喜のサヨナラ打
ここでバッターは、この試合攻守でやらかした宗。
二球目を捉えた打球はピッチャーの足元を鋭く抜けセンター前に転がり、宗歓喜のサヨナラ打、感動のサヨナラ勝ち、奇跡の天王山スイープ。
プレッシャーのかかるなか決めた宗佑磨の目には涙。
ファンの目にも涙。
昨季の日本シリーズを思い出させる激戦。
そしてその果てのサヨナラ勝ち。
奇跡
一つも負けられない試合を3つ全て勝った奇跡。
4点リードをひっくり返されながら九回二死から追いついた奇跡。
やらかし続けた宗が決めた奇跡。
野球の魅力が最大限に詰まったこのカード、この試合。
だから野球はやめられない。
天王山スイープ、素晴らしい試合
天王山スイープという、オリックスが逆転優勝したならば後世に語り継がれるであろう奇跡を起こし、首位とのゲーム差は3から0へ。
息を吹き返すどころか、かかり気味に呼吸も荒く、もはやファンともども一気に頂まで上り詰める雰囲気。
厳しい戦いを勝ち抜いた昨季の経験が活きたと思われる場面が随所に現れたこの3連戦。
チームの、選手の成長を感じることができたカードでした。
シーズンはまだ終わっておらず、現状まだ2位で過酷なデッドヒートはまだまだこれから。
しかし今夜だけは、先のことは忘れ、この感動を存分に味わっていたい。