~オリックス、11年ぶりの交流戦優勝! の巻~
平野とT
九回裏、1点リードのマウンドに上がったのは、平野佳寿。
カウントを稼ぐフォークと決め球のフォークを使い分け、最後は空振り三振で締めて、3-2で勝利。
競争相手が全敗し最終日を待たずして、11年ぶり2度目の交流戦優勝。
前回の優勝は岡田監督就任一年目。
その岡田に中継ぎ転向を命じられたのが平野佳寿。
そしてその年に四番だったのがこの試合でも四番を務めたT-岡田。
当時を知る二人が、オリックス愛の強いこの二人が、10有余年を経ていまもチームの中心にいる。
感慨深いものがあります。
成長
もちろんこの両選手の力だけで栄冠を手にしたわけではなく、彼ら以外の選手の成長があってこそ。
攻撃陣では、チームの穴だった中堅と三塁を一気に埋めた、福田周平と宗佑磨。
主砲吉田の前に座る彼らの高い出塁率が得点に直結し、吉田の後に控える杉本裕太郎の開花が吉田と勝負せざるを得ない環境をつくり。
拘りのあるショートをチームのために譲った安達了一、アキレス腱断裂の大怪我を乗り越えついに正捕手を掴んだ伏見寅威、そしてオリックス期待の大型ショート、甲子園で爆発した紅林弘太郎。
課題解消
投手陣に目を向けると、平野佳寿とヒギンスの再登録でブルペン陣は厚みを増し若手投手の負担が軽減。
さらには精神面のサポートをコーチ兼任の能見篤史と比嘉幹貴が担う。
そして交流戦前下り坂だった先発投手陣が復調し、本来の能力を発揮。
チームの課題がここにきて解消し、チームは完成形に近づきました。
監督・中嶋聡
そして、監督・中嶋聡。
チームバッティングを犠打と軽打と思い込んでいた前、前々監督の悪習を改め、打つことこそが真のチームバッティングと打てる野手を辛抱して起用。
その結果、チーム打率はリーグトップを争うほどに大幅改善。
選手とともに喜び、悲しむ姿勢は、久方ぶりに選手から「監督のために」ということばを生み。
監督さえ代われば、このチームは(優勝とはいかずとも)こんなに弱いはずがない。
ファンの気持ちを、中嶋がようやく現実のものにしてくれました。
先制の3点
優勝を飾ったこの試合。
攻撃面では、難敵・森下から奪った先制の3点が全てでした。
紅林の打球は安達ならば捕れていたと思われ、殊勲打の福田の当たりも二死フルカウント、ランナーは自動スタートで落ちた瞬間に3点確実ならばセンターは勝負を賭けるべきところ。
しかし、広島の記録に残らないミスに助けられたとはいえ、その紅林の打球もしっかりと捉えたもの、福田もきっちりと外野に運び、三走の西野はランエンドヒットの失敗をバットで取り返し、一走の若月は粘って粘って四球を選び。
しかもそれらは二死から、下位から。
チーム、選手個々の成長が窺えます。
田嶋見切らず
ただ、こんな日ですが反省点も。
ランエンドヒットに、五回裏の宗の犠打は不要(犠打失敗は往々にして相手に流れを与えます)。
ストレートで空振りを奪えていた先発・田嶋は五回で代える内容ではなく、中嶋の采配には首を傾げる場面も。
しかし、ラストチャンスと思われた前回の登板で田嶋を見切らなかったのはまさしく中島の慧眼。
代わった村西の大乱調は、投げてみなければわからない投手ゆえ個人的には仕方なし。
その村西から代わった富山の好リリーフは、楽天戦での借りを返したというところか。
交流戦優勝
五割復帰と交流戦優勝にばかり目を向けていましたが、その結果としてチームは5連勝。
先発、中継ぎ、野手、ベンチが同じ方向を向いています。
交流戦と言えど、優勝の響きはやはり気持ちいい。
今度は11年ぶりではなく、25年ぶりの方を。
とにもかくにも、交流戦優勝。