~オリックス、九回表・悪夢の大逆転負け の巻~
平野はベンチ外
オリックス自慢の一二三番の働きで均衡を破り、1点返されての八回裏には吉田正尚の左中間最深部へのアーチで再び4点差に。
いわゆるセーブも付かない点差でマウンドに上がったのは張奕。
西武戦で同点の九回に登板し失点し試合を壊した平野を次の試合で即起用した中嶋。
リベンジに最も適したこの楽な場面で昨日に引き続き再び平野かと思いきや、平野はベンチ外。
故障等であれば仕方ないものの、前日球数13球。
ここから首脳陣の判断のずれが始まっていたのでしょう。
同点アーチ
平野がいない以上、張奕起用はある意味当然。
前日の記事(~オリックス、本田好投も平野が打たれて5連勝でストップ の巻~)で、空振り取れる変化球を覚えれば近未来のクローザーと評したばかりですが、この日のピッチングはまさにそうで、黒川から空振り三振を奪ったフォークが続かない。
鈴木、浅村に連打を食らうまだ3点リード。
一発さえ食らわねばいい場面で、フォークを決め球に使いまさかの同点アーチ。
本塁打の可能性が一番高いのは
ここでの若月のフォーク選択は3球目の島内のフォーク空振りが伏線となっていたと思われますが、一番ダメなのは本塁打で逆にそれ以外はすべて許される、つまり本塁打さえ避ければよい場面。
本塁打の可能性が一番高いのが不安定なフォークが甘く入ることで、張の強い真っすぐがスタンドまで運ばれるとは考えづらい。
ならばと、ここは真っすぐで勝負に行くべきところでした。
リードのいい若月には珍しく最悪の選択。
まさかの漆原
ここで張は交代。
ただそれでもまだ同点。
あとひとつアウトを取れば負けはなくなるところでマウンドに上がったのはまさかの漆原大晟。
クローザーを外されて以降本来の投球ができるようになった漆原ですが、裏を返せばつまりメンタルが弱いということ。
その漆原をここにもってきたのはベンチのミス。
そして初球、好調・岡島に逆転ホームランを浴び、ついに逆転されました。
細心の注意を払うべき場面でなにも考えずにストライクを取りにいった漆原とエアポケットに入ったかのような若月のリード。
ピンチバンター・大城
反撃の九回裏、安達が四球を選び無死一塁。
ここで紅林に代打・大城。
つまりピンチバンター。
ビハインドの場面でわざわざ得点期待値を下げる策をとった中嶋。
そしてそのバントすらできず空振り三振に倒れた大城滉二。
ここで試合を終わりました。
西野や大城、後藤といったチャンスを与えられながらレギュラーを掴めなかった中堅選手の不甲斐なさ。
中嶋の判断ミス
この悪夢のような大逆転負け。
平野をベンチ外としたこと。
クローザー漆原に固執し過ぎて失敗を重ねて以降、リリーフ陣の調子が悪いと見るや早めの継投で危機を回避してきたにもかかわらず、ここで張を引っ張り過ぎたこと。
メンタルの弱い漆原を同点の九回に出したこと。
ビハインドの無死一塁で愚策中の愚策・ピンチバンターを出したこと。
これらが輻輳しての負けですが、これらはすべて中嶋の判断ミス。
ここに若月のリードミスも重なりました。
勝てる試合を指揮官のミスで落としました。
「やっと来たな。チャンスが回ってきたな」
引き分けでいい試合を落とし、先発・田嶋の力投、好投もあり十中八九ものにしていた試合を落とし、楽天に2連敗。
久方ぶりのカード負け越しはともかく、明日の先発が山崎颯一郎であることを考えれば、この試合だけは是が非でも取りたかったところで、実に、実に痛い黒星。
ただ、ここまでの躍進はひとえに中嶋のおかげでもあるわけで、またこの反省を生かして戦ってくれれば。
明日の山崎颯一郎、期待と不安でいえば不安の方が大きいも、山崎の前日談は「やっと来たな。チャンスが回ってきたな」(サンスポ)。