~オリックス、九回裏奇跡の3X! の巻~
奇跡
九回裏、2‐4。
既に2点も取ったオリックス打線にこれ以上望むのは酷というもので、
つまりは負け。
ロッテ相手に本拠地での2連敗は厳しく、今季終戦すら覚悟しながらほぼ惰性で最終回の攻撃を眺めていましたが、まさかここから奇跡が生まれるとは。
先頭の三番・小島が、この回からマウンドに上がったロッテのクローザー益田から四球を選び、吉田正尚。
一発出れば同点の場面、2ボールからのストライクを取りにきたシンカーを見逃し、次のボール球のシンカーをひっかけてワンアウト。
追いつくには吉田の一発しか考えられず、これで試合はほぼ終了。
陰のヒーロー・中川圭太
続く五番・ロメロが死球。
途中出場の伏見に期待も、低めのストレートに手が出ず、ツーアウト。
ここで代打・中川圭太。
早々と追い込まれますが、そこから粘れるのが中川のいいところ。
厳しいところをカットで凌ぎ、9球粘ってフォアボールを選びました。
ルーキーとは思えぬ冷静さに、野球センス。
今日の陰のヒーローは間違いなく中川。
中川の四球で二死ながら満塁となり、ワンヒットで同点の場面をつくりました。
代打・後藤駿太
次打者は山足も、中川の打席でベンチから声を張り上げる姿が画面にあり、
ということは代打・後藤一択。
益田から今季決勝打を放っているとはいえ、ここまで1ヶ月以上ヒットが出ておらず、
たまに打席に入るも腰の引けた当てただけのバッティングを繰り返しており、正直期待薄。
2球目の内寄りの甘いストレートを簡単に見逃し、2球で追い込まれたのをみて私的にはここで観念。
次のシンカーで三振と思いつつも、そのシンカーがなかなか来ない。
結果5球続けたストレートを捉え、センターへの同点タイムリー。
驚き、即喜び。
本当によく打ってくれました。
福田周平 vs シンカー
二死一二塁となりバッターは、途中出場の福田周平。
今度は後藤の場面とは逆にしつこくシンカー攻め。
しかもそのシンカーを見事なまでに低めに集め、2球目3球目と福田は全くタイミングあわず空振りを続けました。
一球高めに見せ球のストレートを放るかと思いきや、ここからもまたシンカー、シンカー、シンカー。
打撃低調の福田も、ここまで続けられればさすがに見極め手を出さず、全6球のシンカー勝負に勝ち、
この回チーム4人目の四死球でまたまた満塁に。
いまのオリックス打線で吉田を除けば大城と並んで最も期待できる小田に、打席が回ってきました。
一番小田、二番大城、三番小島と大きく打線を入れ替えたことが功を奏し。
小田裕也、サヨナラヒット
その小田、低めのシンカーは2球見極めるも、高めのストレートを2球空振り。
直球に対して振り出しが遅く、捕手もそう考えて勝負球に選んだのはやはりストレート。
しかし打撃好調の小田は、3度目のストレートにしっかりとアジャスト。
強烈な打球がショートの横を抜け、奇跡のサヨナラ勝ち。
本当に、よく打ってくれました。
スコアボードに燦然と輝く、九回裏の「3X」。
4つの四死球いずれも、2ストライクと追い込まれてもいました。
そこからの粘り。
四球を選んだ小島、中川、福田はそれが仕事も、そういう仕事をきっちりとこなせたことが偉い。
殊勲打の後藤に小田は、とにかくすばらしい。
奇跡の3X
出来はいまひとつながらなんとか試合をつくった榊原の負けを消し、消したどころか勝利まで掴み。
ホームアドバンテージを最高の形で活かし、この為体のなか現地に足を運び声を嗄らして応援してくれたファンに最高のプレゼントを。
繰り返される凡ミスとそれに伴う敗戦、そして負け慣れしたかのような淡泊な試合運びに、ファンの気持ちも切れかかっていましたが、
この勝利は間違いなく膠となりました。
奇跡の3X。
これがさらなる奇跡を呼ぶきっかけとなってくれれば。
いい試合でした。