~オリックス、申告敬遠とT-岡田 の巻~
前の打者が敬遠された回数ランキング1位・T-岡田
NHK・BSで放送中の「球辞苑」で、「敬遠」がテーマとして扱われていました。
前の打者が敬遠された回数ランキング(2008~2017年)で、
堂々の?一位に輝いたのが、オリックスの主砲・T-岡田。
投手が打席に入るセリーグの打者(特に捕手(谷繁や相川))が多くランキングに入るなか、最多となったT。
それだけ、守備側から抑えやすいとみなされたバッターということになります。
その事実を明かされると、苦笑いを浮かべたT。
「ボク、調子悪いととことん打てないんで」のことばには、思わず笑ってしまいました。
,368
なかなか感情が表に出ないTですが、
「もちろん燃えるものはあります」
「なめられてる」
「なめられたら腹立ちますし、屈辱ですし」
と内心怒りに満ちており、
結果として、
前の打者が敬遠された直後の打席での打率は、驚きの,368。
普段の打率よりも大幅に良化しているのは、
やはり屈辱を力に変えているのでしょう。
それができるTならば、
心の持ち方次第で、チャンスでもっと打てるはず。
Tが目標の100打点をクリアしてくれれば、チームは大きく浮上します。
申告敬遠
敬遠絡みでこんなニュースが。
守備側が意思表示をすることで1球も投げずに四球となる申告制の敬遠が、日本球界でも来シーズンから導入される見通しであることが18日、分かった。プロ、アマの統一ルールとして規則化される見込み。適用は各団体に委ねられ、プロ側は来年1月の規則委員会で、最終的に判断する。
「申告敬遠」は、試合時間短縮などを目的に大リーグが今季から導入。ベンチが敬遠を申告することで、投手がボール球を4球投げずとも打者は四球となる。一方でプロ野球では過去の敬遠の際、試合の行方を左右する展開となったことが数多くあり、ドラマ性が損なわれる可能性があるなどと議論が続けられてきた。
90年にはクロマティ(巨人)、99年には新庄(阪神)が敬遠球を打ってサヨナラ打。今年5月21日のヤクルト―阪神戦(神宮)では、7回2死二、三塁の場面でヤクルト・ルーキの敬遠球が暴投となり決勝点となった。申告敬遠が導入されればこれらのシーンは見られなくなるが、試合時間短縮など国際的な流れに対応した形となる。
プロ野球が来季から適用するかは、球団や選手、日本プロ野球選手会などから広く意見を集め、「(最終的に)規則委員会で話し合う」(球界関係者)予定となっている。(スポニチ)
メジャーの新規則を一年遅れで導入することが多いNPB。
歓迎する声の多かったチャレンジ制度はなぜか意固地に採用を拒んでいましたが(こちらもついに来季から導入予定)、
逆に、
反対の声が多かった申告敬遠に関しては、即座に導入を決定。
試合時間短縮という目的が、今季のMLBでも達成されていないにもかかわらず。
私的には、
メジャーに倣って、SBOをBSOに変更したくらいに、違和感があります。
聖域
確かに、試合を観ていて、敬遠の場面は間が伸びており、
MLB同様に監督指示で四球とすれば、その間延び自体は解消されます。
しかし、
野球自体が間のスポーツ。
その間を嫌うのであればサッカーやバスケを観る方がその方の性に合っているのでしょう。
前述の球辞苑でも報告されていましたが、
シーズン中の敬遠の数は、平均して1チーム1ヶ月に1回程度。
ソフトバンクに至っては今季の敬遠数はわずか一つ(オリックスは8回)。
試合時間短縮のためにここにメスを入れても効果が出ることは考えにくく、
それならばもっと別にやるべきことがあるはず。
例えば、イニング間の時間短縮や、5回のグラウンド整備の見直し、コーチがマウンドに行く回数の制限など。
聖域であるグラウンドレベルのルールに手を入れることは、最後の手段とすべきです。
ドラマ
投手は歓迎し、打者は往々にして反対する、この申告敬遠。
ただ最も重要視するのは、投手でも打者でもなく、
お金を払って観に来てくれるファンの声ではないでしょうか。
ファンは各々のドラマを求めて球場に足を運びます。
ある人は贔屓のチームの勝利というハッピーエンドのドラマを求めて、
ある人は人間離れしたプレーを楽しみに。
私はあの一見無駄とも思われる、敬遠の時間が好きです。
敬遠に際し、
張本はバットを逆さにもち、
長嶋に至ってはバットすら持たずに打席に入りました。
そして、
阪急最後の日、ロッテ高沢と首位打者を争った松永はロッテの敬遠攻めにバットを放り投げ抵抗しました。
また、
ペタジーニへの敬遠指示に対し涙を浮かべ、歩かせた直後マウンドを激しく蹴り上げた上原。
10試合連続無四球試合というプロ野球記録に並ぶ大事な試合で、終生のライバル掛布をベンチ指示で敬遠することとなり、怒りの剛速球を放り掛布を震え上がらせた江川卓。
そして、
横浜・ブランコへの敬遠指示に、150キロ超えのストレートを投じ、エースとしての矜持を示した金子千尋。
このようなドラマが、
申告敬遠の導入で観られなくなります。
「採用する意図が不明確」
この申告敬遠に対し、いまのところ疑問の声を呈しているのが、高校野球。
高校野球では採用を見送る方向のようです。
高校野球関係者によると、その理由は「採用する意図が不明確」とのこと。
端的ですが、確信をズバっとついた名言です。