祈優勝! オリックスバファローズ

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田口壮

~オリックス二軍監督・田口壮の一年 の巻~

鬼の田口

オリックスは18日、高知での秋季キャンプを打ち上げた。同時に神戸での秋季練習も打ち上げ、田口壮2軍監督(47)が早くも鬼予告をした。

この日も90分間走など選手はみっちり走り込みをしたが、来春の2軍キャンプも当然のように「走らせる」と宣言。「1軍のトレーナー経由で選手に伝えてもらったが、ファームのキャンプに来たら、とんでもないことになるよ、と。来たくなければ頑張ればいい」と不敵な笑みを漏らした。

田中雅興二軍監督付マネージャー曰く「こんなに練習してる選手を久しぶりに見ましたよ」。

田口二軍監督のもと、
神戸居残り組は、地獄のキャンプを送ったようです。

昨年、二軍監督就任後に神戸残留組を視察。
その際、
「こっち(神戸)に残っているということは、それなりの立場(の選手)。覆せるだけのものは、春のキャンプまでに示さないといけない」と語っていた田口。

それなりの立場」の選手に過酷な練習を課し、
覆せるだけのもの」を植え付けんと、初の秋季キャンプを選手とともに走り抜けた田口二軍監督(兼打撃コーチ)。

鬼と化したようですが、
あの大きな目と屈託のない笑顔のためでしょうか、
あまり怖くはなさそうです。
ただそれは、田口壮のもつ人間性の美点でしょう。

途中体調不良での離脱はあったものの、
なんとか監督一年目を終えようとしています。
成績は振るいませんでしたが、
この一年は、
監督・田口の考え方が、選手個々に浸透するのに必要な時間だったと思います。

福良と違って、自らの思考を言語化(文字も含めて)できるゆえに、
ファンも田口の考え方を知ることができ、
ときにその深謀遠慮に、驚くことがあります。



 仏の田口

使い物にならない外国人の溜まり場と化した今季のオリックスファーム
田口は、そんな彼らを最後まで使い続けました。

若手の打席を奪うこの田口の起用法を、このブログで私も幾度か批判したのですが、
そこには田口なりの深淵なる考えがあったようで、
NumberWeb「猛牛のささやき」にこう記されています。

「若手の育成はもうずっと継続的にやってきているので、それぞれ課題はちゃんと見つかっている。ここで若手に5打席与えたら変わりますかといったら、急には変わらないですよね。でも中堅、ベテラン選手や外国人選手に5打席与えて、例えばスカウトの方が見ていて、『あいつ、まだいけるやん』となったら、その選手の人生が変わるわけです。選手たちが次の年に、たとえチームが違ったとしてもハッピーにちゃんと野球ができるということも、僕は大事な部分だと思っています
その積み重ねが、『あの球団はいい球団だよ』と思ってもらえることにつながる。そうしたら選手がどんどん来てくれる。別に見返りを求めてやっているわけじゃないけども、外国人選手にも、日本に悪いイメージを持ってほしくない。彼らが、『日本に行ったけどずっとファームにおったわ。でも意外とええとこやで、あのチームは』と言ってくれたら、次に外国人選手を獲りにいく時に、『オリックスだったら行きます』となるかもしれない
チームを強くしていこうと思ったら、そこの部分は絶対に必要だと思うんですよ。それは、ここ(二軍)でできるチームを強くする方法だと僕は思っています。だから最後までまんべんなく起用しました。『何も考えてない』とか『アホちゃうか』って言われますけど、実はめちゃくちゃ考えてます(笑)」

なかなか深い話です。
入れ替わりの激しいメジャー・マイナーを経験したからこそ言える言葉でしょう。

日本と違って、
球界・一般社会問わず、一度失格の烙印を押されても、
自らが諦めない限りネクストチャンスを掴むことができるアメリカ
もちろんそこで合格するかは本人の能力によりますが、
それでも次の扉を叩く機会は残っている。
そして、そんな挑戦者を扉の向こうで首を長くして待っているスカウトがいる。

ここでは結果が残せずとも、
次の場所で成功してほしい。
日本人・外国人分け隔てのない、そんな田口の親心に深く感銘を受けました。

もちろんここが育成の場であるファームであるという大前提のもとでの、この田口の優しさでしょうが、
こういう優しさは、聞いていて気持ちがいい。

ある試合で、
中継ぎとして出てきたコーディエが先頭打者にフォアボールを出し、
即座に交代を告げられた場面がありました。
納得いかないコーディエは不服そうな表情を浮かべながらベンチに戻っていきました。
テレビからも感じる不穏な空気。

その直後、
投手コーチではなく田口自身がコーディエのそばに静かに駆け寄り、
その意図を直接伝えていました。

田口の思いを感じ取ったコーディエは、
深く頷き、柔和な顔で田口に微笑みました。



 監督田口の手腕

田口二軍監督の初年度。
積み重ねた借金は28。
同じく新人監督であった中日・小笠原が下馬評を覆し最後までウエスタンリーグの首位争いをしたのに比べ、
監督としての田口の手腕はいまだ未知数。

ただ、人間・田口の大きさは十二分に感じ取ることができた一年でした。

しかし、人間性だけでは監督が務まらないのも事実
それは、田口の信奉する福良の体たらくでも明らかです。

種を蒔き、水をやったこの一年。
いや、
土壌を入れ替えることに費やした一年だったのかもしれません

来年からが、監督田口の腕の見せ所。

積み重ねた借金は28
しかし、
Tが蘇り、中島が生まれ変わったのは、きっと田口がいたから

監督・田口、
どれだけ期待しても、損はないでしょう。




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