~オリックス、最高勝率投手・山岡泰輔、「「仕方ない」ではダメ」 の巻~
「仕方ない」
週刊ベースボールの記事「オリックス・山岡泰輔 プロ4年目へ増す“責任感”」より。
昨年チーム副キャプテン(投手陣キャプテン)を任された山岡へのインタビューです。
2018年オフ、金子千尋(現弌大)、西勇輝の先発2本柱が移籍し、投手陣の若返りが急速に進む中で“投手リーダー”に指名された。「僕に、みんなを引っ張ることは求められていない」と話す右腕だが、意識したことが1つ。それは、“簡単な一言”による声かけだ。
「打たれたときに『あの場面だけだったね』とか『もう1イニング投げたかったね』とか、簡単な一言をかけるようにはしたんです。僕の1年目、2年目(17、18年)は、その声かけが少なった気がして。結果が悪くても『仕方ない』という雰囲気になっていた。それをなくしたかったんです」
低迷続くオリックス。
全てを「仕方ない」と片付ける空気がチームを覆い、それが勝負への恬淡さを生み、また「仕方ない」で片付ける。
弱者のスパイラル。
QS
近年はメジャー・リーグで用いられる先発投手の指標である“6回3失点以内”のクオリティー・スタート(QS)が日本にも浸透しつつあり、その数値がノルマになっている節は否めない。そうした風潮にも右腕は首をかしげる。
「QSにしても、その指標をクリアすれば良いわけじゃない。6回3失点でも負けるときはある。それは『ナイスピッチング』ではないんです。だって負けているんですから。だから、3失点したら、なぜ3失点したのかを考えなくちゃいけない。負けたけど、指標はクリア。だから『仕方ない』ではダメなんです」
QS自体は先発投手の一応の指標にはなれど、一週間に一度しか投げない先発投手が目指すところはそこにあらず、自身の、チームの勝利。
そう2019年最高勝率投手の山岡は語ります。
QSクリア率を盾に年俸アップを図った松葉貴大。
その翌年から低迷が始まり、移籍先でも結果残せず。
意識の差が結果として表れています。
3年目の最高勝率投手
自分自身に言い聞かせていることでもあるが、チームが同じ意識を持たなければ、長いシーズンで、勝ちを重ねることはできないと心得る。その思いから“簡単な一言”を始め、チームの意識が変わったきたことを実感している。
「去年のシーズン中から徐々に負けた翌日に『ドンマイ』『打線の援護がなかったから仕方ない』という声がなくなったんです」
「仕方ない」でリセットしていたチームが徐々に変わり始め、なぜ負けたかを考え、好投しても勝たねば意味がないことを認識する。
プロ入り2年、好投すれど打線の無援護に泣き続けた投手が「仕方ない」で終わらせなかった。
その結果が、プロ3年目、最下位チームでは異例の最高勝率受賞。
その姿を、その結果を身近でみていた他の投手も、山岡の姿勢に感じるところがあったはず。
それがチームの変化に結びついています(チームとしての結果にまだ結びついてはいませんが)。
中継ぎ
日本代表での体験で、再確認したこともある。昨年11月のプレミア12に出場した右腕は全8試合のうち、4試合に救援登板。シーズンは先発を務めた男が、中継ぎの大変さをあらためて感じたという。
「試合展開次第で、いつ投げるか分からない。それも連日。先発なら、決まった日に合わせて調整できますし、登板が終われば翌日の登板は基本的にない。体の面でも、精神的にも中継ぎの方の大変さが分かったんです」
だからこそ、今季の目標に掲げる数字がある。それが投球回200イニングだ。
「できるだけ中継ぎの方を休ませられるように。『今日は山岡だ。出番はない』と思ってもらえるだけでも、精神的な負担は減る。中継ぎの方に助けてもらったことは何度もあった。今度は自分が助けていきたい」
日本代表での体験というより2年目途中の中継ぎへの配置転換の方が、山岡の意識改革には大きかったのでは。
昨年は千賀に次いでリーグ2位の投球回170。
中継ぎ陣にはすでに「『今日は山岡だ。出番はない』と思ってもらえ」ているのでは。
意識の高さと責任感
総じて意識の高さと責任感が感じられる山岡のコメント。
西村が24歳の山岡を投手リーダーに任命したのがよく分かります。
防御率や被安打・本塁打数の多さなど改善点はあれど、それも伸びしろとも思える山岡の考え方。
腐ったチームの空気を変えうる可能性を持った選手であることは間違いありません。
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