~オリックス、加藤康幸退団? の巻~
オリックスドラフト1位・吉田正尚
昨年ドラフト1位でオリックスに入団した吉田正尚外野手(23)が、いよいよ本領を発揮してきた。腰椎椎間板症の影響もあり、1年目の今季は大半を2軍で過ごしたが、やはり“もの”が違う。(中略) 台湾ウインターリーグでの爆発力は、それを裏付けるものだ。
日本球界に比べてレベルが低いとはいえ、打率・549をマークし、2位を1割以上も離すぶっちぎり。もちろん、6本塁打、26打点も断トツで、堂々の三冠王に輝いた。28安打は最多安打でもあり、バットマンレースでは敵なし状態。ドラフト指名「当たり」の予感が漂ってきた。(スポニチアネックス)
体が小さい、守備走塁が物足りない、1位じゃなくても獲れるのでは…など、
獲得報道がなされた際は厳しい声もあった、オリックス・吉田正尚の単独指名。
その批判の声をあざ笑うかのような、吉田正尚の大活躍。
オリックスドラフト1位・吉田正尚。
間違いなく、「当たり」です。
吉田の指名を主導したのが、オリックス前編成部長の加藤康幸。
ただ、
その加藤はオリックスを退団する見込みのようで…。
オリックス編成部長・加藤康幸
しかし、その功労者は、ひっそりと今季限りでオリックスを去ろうとしている。前編成部長の加藤康幸氏だ。
昨年ドラフト会議の数日前、オリックスは明言こそしなかったが、吉田正尚指名を暗に示唆して、他球団を牽制した。おそらく、そのシナリオを書いたのが加藤氏だったのではないか、と感じている。実はスカウト会議で、吉田正を推したのは、加藤氏ただ1人。現場からも投手優先の希望が伝えられたが、最後まで首を縦に振らなかった。T-岡田に続く和製大砲がほしい。その思いは、決してぶれることがなかった。(スポニチアネックス)
念仏のように「投手が欲しい」とつぶやき続けた福良の意見を却下し、
吉田正尚の単独指名の道を作り上げたのは、オリックス前編成部長の加藤康幸。
吉田の成功のみならず、
彼が目を付けた、高卒の若月・園部・奥浪が徐々に戦力となり始め、
加藤の先見の明に称賛の声が上がっています。
しかし、
光あれば陰もあり、
彼が大枚をはたいて獲得した中島・小谷野らの不振があり、
加藤は編成部長の座を追われ、
この記事によると、今季限りでの退団が決定しているとのこと。
今季限りというのがいつを指すのかわかりませんが、
少なくとも加藤には信念があった。
退団の主因となった中島らの獲得は、じつは加藤の目指すべきところではなく、
若月らが一人前になるための橋渡しこそが彼らの真の役割。
その部分の失敗で放逐されるのはあまりにも割に合わない。
そう感じるのは私だけでしょうか。
加藤を招聘した瀬戸山に代わって、編成部の全権を再び長村裕之が担うようになりましたが、
ドラフトでも独自色を出せず(3位指名の岡崎大輔(花咲徳栄)は加藤の希望のようですが)、
糸井・陽にも逃げられる。
そこには、加藤のような信念がみえない。
長村が球団本部長を務めていたあの頃の、むちゃくちゃなドラフトが再びやってきそうで、非常に怖い。
闘う君の歌
獲得した選手全てが活躍するなんてことはあり得ません。
実際、加藤が高く評価した、2014年のドラフト3位・佐野晧大は背番号13を剥奪され、
プロ2年目の坂寄は解雇、
2015年ドラフト指名の角屋は早々と育成落ち。
しかし、それでも吉田を一人推した加藤の眼力は評価されるべきです。
そして、
彼がチームを去るのは、オリックスにとって非常に大きな損失です。
不良債権の代表格であった中島も徐々に復調の兆しをみせ、
野球人生の晩年に差し掛かった小谷野は、オリックスの若手に自らの経験を伝えようと頑張っている。
責任を負って仕事をすれば、そこに毀誉褒貶が生まれるのは仕方がない。
結果をだせば称賛され、
失敗すれば叩かれる。
ただ、
その失敗を恐れるから、
多くの人は、動かない、責任を負おうとしない。
信賞必罰はビジネスの世界の性とはいえ、
一つのミスを批判するのではなく、
勇気をもって信念を貫いた末に掴んだ一つの成功を、
もっと讃えるべきです。
中島みゆきは天に向かって歌った。
「闘う君の歌を闘わない奴等が笑うだろう」と。
少なくとも、オリックスファンはあなたのことを陰で指さして笑うようなことはしません。
吉田がここにいて、
若月がホームを守り、
園部・奥浪が精一杯バットを振っているのだから。