~オリックス、宮内オーナーの「ONE TEAM」とイチローの「こんなときだからこそ、個人のために」 の巻~
訓示
オリックス宮内義彦オーナー(84)が8日、宮崎SOKKENスタジアムを訪れた。チームの激励が目的で、到着するとすぐに大きな円陣を組んだマウンドの中心で約5分間の「訓示」を行った。
全員野球の考えも選手に伝え、注文を出した。「まずラグビーの話をしましてね。もちろん野球とは違うスポーツだけど、全員が勝つためのプレーをしている。自分は犠牲になってでも、ボールを次に渡すというね。チームが勝つためを前提にやっている。実は野球はなんとなく個人プレー。それは全く意味がないんじゃないかなと。勝てないチームはダメなんで、みなさん勝つための試合をやってほしい。自分がどういうポジションにいるかを察して、1つ1つのプレーをやってほしい」
球団、スタッフ、選手たちが1つになって戦う。「ONE TEAMですよね。なんとなく選手は個人プレーで、自分が良いプレーをすればそれでいいと思っている。それじゃあ野球じゃない。勝たないと。そういう話をしました」。
続けて「自分は何を期待されてるのか。俺だけヒットを打ったらいいとかね。意味のないヒットは意味がない。チームで勝つプレーをすることが大事だとね」と、全員でつかむ勝利への執念に期待を寄せた。
恒例の宮内オーナーのキャンプ訓示。
今年は流行りの「ONE TEAM」。
換言すれば、「勝つためにチームが一つになる」。
別に真新しくもなく、ずっとずっと言われ続けていること。
「なんとなく個人プレー」
ラグビーにサッカー。
こちらは完全なる団体競技。
一方、野球は宮内の言うように「なんとなく個人プレー」。
もちろん個人のみで勝てるわけでなく団体(チーム)としての動きも当然に必要ですが。
たとえば即プロで通用する高校生投手がチームに一人いればある程度いいところまでいけるのが野球。
投手一人の力で勝てます。
しかし、ラグビーにサッカーではそうはいかず。
そしてチームとしての戦術やまとまり次第でそれなりの結果残せるのが団体競技。
だが、野球の場合は隔絶たる力の差がある投手相手ではどうしようもない。
4時間チームバッティング
数年前、犠打や右打ちのチームバッティングができなかった武田健吾らに、当時の監督・福良淳一が昼飯抜き4時間ぶっ続けでチーム打撃の練習を課したことがありました。
これが宮内の言うような「勝つための試合をやってほしい。自分がどういうポジションにいるかを察して、1つ1つのプレーをやってほしい」「チームで勝つプレーをすることが大事」ということの具現化の一例だと思うのですが、果たしてその効果はどれだけあったか。
セイバーの進んだMLBが勝利への最短距離として出した答えが、力vs力の一騎打ち。
犠打を排し、盗塁も軽視し、チームプレーよりも個の能力アップを目指す。
そのためにバレルゾーンなど打者を納得させ成長を促すためのデータを示すことを惜しまない。
個のレベルアップ
個の能力アップよりもチーム打撃を優先すれば、しっかり振る力は育たず、チャンスメイクはできても試合を決める一打を放つ選手は育たない。
パリーグの力強い投手連中に振り負けていない選手が果たしてオリックスにどれだけいるか。
チームバッティングは、強いスイングを身に着けてからでも十分に間に合うもの。
最初から当てにいくような打撃を教えられた選手が、得点との関連性の高い長打を放てるようになるのか。
答えはノー。
「ONE TEAM」「チームバッティング」「チームのために」。
言葉の響きはいいものの、「なんとなく個人プレー」の野球では、とにかく個のレベルアップこそが重要です。
「こんなときだからこそ、個人のために」
イチローが入団した2001年には年間116勝のMLBタイ記録を樹立したシアトル・マリナーズもその後は低迷を続け、イチローが在籍した2012年までの間に地区最下位7度。
沈むチームを変えようと、当時のチームリーダーたちが「こんなときだからこそ、チームのために」と鼓舞した一方、イチローが語ったのは「こんなときだからこそ、個人のために」。
「個人スポーツの面もある野球において、個人の能力アップこそがチーム成績の向上に結びつく」というこのイチローの概念は、安打数の割には出塁率の低いイチローの個人主義に結びついて受け取られ、この発言がなにかの効果を生むことはありませんでした。
いまのオリックスは当時の(いまも同様に低迷していますが)マリナーズに近い状態。
耳障りのいい「ONE TEAM」よりも個人の能力アップ。
私もイチローの意見に賛成です。
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