~オリックス・張奕、初先発初勝利でスイープ! の巻~
投手転向
2016年育成1位当時は野手だった張奕。
パワー溢れるバッティングも粗さがとれない張に対し二軍首脳陣が考えた策は、打撃面の改造より野手から投手への思い切った転向。
今村文昭や萩原淳の時代と違い、投手はそこまで事欠かず野手の方が不足のいまのオリックス。
そのなかでの投手転向は、張の能力の高さ(特に肩の強さ)と伸び悩む選手をなんとかしてあげたいという二軍首脳陣の親心ゆえでしょう。
高校時代に投手は経験済み。
といえどそう簡単なものではないのもまた事実。
そのなかで転向わずか1年で支配下を勝ち取りました。
金子唯一の置き土産
が転向当初から順風満帆だったわけでなく、早々に肩を痛め。
そんな悩める張の前に現れたのが、オリックスの元エース・金子千尋(現日本ハム)。
寮の部屋で眠っていた張奕の耳に、車のエンジン音が聞こえてきた。「こんな朝早くに、誰だろう?」。時計の針は、まだ6時半を少し回ったところ。寮の廊下にも人影はない。そんな静寂を破り、朝一番に姿を見せたのは金子だった。2軍調整中のさなかとはいえ、あまりにも早い登場に驚いた。
「金子さんの家はそんなに舞洲に近くないはず。だから6時前には家を出ていると思います。そうでないとこの世界で生き残れないんだ、と考え方が変わりました」
そこからは、リハビリ中の金子を盗み見るようになった。「同じ事を毎日黙々と繰り返したり。練習の取り組み方とか、すごいなと思って勉強になりました」。張奕も投手に転向直後、右肩を痛めて同じようにリハビリ中だった。熱視線を感じたのだろう。いつしか、金子が助言するほど近くにいた。「1球1球、自分の感覚を覚えるしかないよ。この球はこう落ちるんだ、とか、感じるしかない」。コーチにただ教わるだけでは上達はしない。自分にしか分からない感覚を積み重ねること。それは、言い換えれば努力だ。何とかなるだろう、という甘い考えは消え、金子の言葉が心に響いた。(スポニチ/次のスターはオリまっせ)
金子が(目に見える形で)オリックスに唯一残した置き土産。
師の教えを胸に、
張奕、いざプロ初先発のマウンドへ。
初先発
ちぐはぐな攻撃ながら、四番・ロメロのタイムリーで幸先よく先制したオリックス。
援護点を貰ってのマウンド、西川・大田・田中を三者凡退に打ち取ります。
150超えのストレートに、スライダー、ナックルカーブ、そして金子が得意とするチェンジアップ。
一球一球丁寧に、力強く投げ抜き、日本ハム打線を寄せ付けず。
変化球時に腕の振りが緩むこともなく、ストレートもしっかりと指にかかり。
3ボールから若月が変化球を要求できたくらいに変化球も精度の高いものでした。
vs 大田泰示
思わず唸ったのは四回の大田との対決。
3球目のストレートがインハイに抜けて1-2。
これを奇貨とし次に、外へのスライダーを求めた若月にきっちりと応えた張。
ここはインハイが効いていたためストライクゾーンへの少々甘いスライダーでも空振りが奪えます。
5球目の勝負球、若月はタイミングが合っていないスライダーを再び。
しかしスライダー続けてのこの球は4球目よりボール一個分は外にもってこなければ空振りは奪えない。
4球目より外へとしっかり投げきれたスライダー、今度はストライクゾーンからボールへ。
大田のバットは空を切り、空振り三振。
たまたまかもしれませんが、この張の投球には自然と拍手が生まれました。
非の打ちどころないピッチング
元野手とは思えないピッチングを披露した張。
正直言えば、六回の1イニングは余計も、中継ぎ陣フル稼働のオリックス、もう1イニング張に任せたくなる気持ちも分かります。
六回、清宮に本塁打を打たれ、続く3人の打者にはフルカウントまでもっていくもここを辛抱してお役御免。
6回/被安打2・奪三振6・与四球0・自責点1。
非の打ち所がないピッチング。
与四球0など、だれが想像できましょう。
そして、余計だった六回の苦しんだ経験が、張をさらに成長させたはず。
張奕、プロ初先発初勝利 & パのチーム相手に初のスイープ
七回近藤が乱れ1失点。
二死二三塁、一打逆転のピンチで清宮を迎えたところで山田修義にスイッチ。
ここは山田しかいませんが、登板過多。
しかし疲労なんのその、代打・杉谷を内野ゴロに打ち取りピンチ脱出。
八回は海田、九回はディクソン。
2イニング続けての三者凡退で逆転の機運すらつくらせず、勝利。
張奕、プロ初先発初勝利。
そして、
パのチーム相手に初のスイープ。
一拍
投手陣がいいだけに大型連敗はないものの、攻撃陣が弱いために大型連勝もない。
そんなオリックスが敵地でまさかの同一カード3連勝。
現状パリーグの借金丸抱えのオリックス、
ようやくエンジンがかかってきたのか。
西野がスタメンに入りモヤとロメロが打ち出して、試合内容が見違えるようによくなりました。
明日は一日休んで、明後日仙台での楽天戦。
この勢いのまま杜の都に乗り込みたいものの、ブルペン陣には大きな休養となりそうな明日の一拍。