~オリックス、田嶋好投も継投ミスで逆転負け の巻~
田嶋大樹
満塁策が功を奏さずのサヨナラ負けで2勝2敗となった、オリックス対阪神の日本シリーズ。
第5戦の先発は、田嶋大樹。
立ち上がり、犠打処理を自身が誤り無死一二塁のピンチを招き、一死一三塁となってバッターは四番大山。
2-1からのライトへのフライは際どくファール。
たとえファールでもまだ初回、タッチアップで1点許してもアウトカウントを増やすことが肝要。
森はスライディングキャッチで一旦グラブに収めるもこぼれてファールに。
三振ゲッツー、無失点
1点覚悟からのファール。
アウトは増えずも無失点に抑える機会を得たと、いい方に思考転換。
が、1点で済まない危険性をも孕んでおり。
どちらに転ぶかが、この試合もしくはこのシリーズの流れを決すると(勝手に)想定した大山の打席は、オリックスにとって最高の形となる三振ゲッツー、無失点。
しかもリプレイ検証からのひっくり返りで、チームもファンも大盛り上がり。
まさかの交代
その直後のチャンスは逃すも、四回、ゴンザレスのソロ本塁打でオリックスが先制。
七回には欲しかった追加点をノーヒット&相手の連続エラーという、こちらもオリックスにとって最高の、阪神にとって最悪の形で貰って、流れは完全にオリックス。
初回のピンチを脱した田嶋は尻上がりに調子を上げ、その裏も3人で片付けて、ここまでまだ88球。
八回までは任すと思いきや、ここでまさかの交代。
いい流れのときには動かないのが勝負の鉄則。
山崎颯一郎が戻ってきたと言っても2試合ベンチ外。
宇田川は2連投中で、山岡はこの日もベンチ外。
ここで代えて大丈夫かと、不安9割、期待1割での八回裏。
一挙6失点
マウンドに上がったのは山崎颯一郎。
ベンチ外の理由は分からずも、ベンチを外れたことこそが事実。
その山崎が犠打の一つしかアウト奪えず、代わった宇田川も打たれて一挙6失点で、痛い痛い逆転負け。
安達の悪送球で始まったこの回の悪夢。
不安があったはずの山崎颯が浮足立ったのは間違いなく、堅実さが持ち味の安達ゆえ、ダメージは余計に大きく。
3連投解禁の焦り
投げられると見込んでの登板だった山崎颯が崩れて、代わっての登板は宇田川。
シーズン一度もなかった3連投をここで解禁。
昨年の日本シリーズでは第4戦で回跨ぎとなった山崎颯と宇田川を登板させないだけでなくベンチからも外した中嶋。
勇気のいる決断も、これこそが普段の中嶋采配。
パリーグ3連覇と実績のあるチーム。
個人的には日本シリーズと言えど、リリーバーの起用は普段通りでいいと思っており、この宇田川起用には、珍しく中嶋の焦りを感じました。
とはいえ、最大7戦先取の短期決戦で、普段通りの戦いを貫いた結果大敗した岡田阪神の例をもあるので、難しいところではありますが。
継投ミス
上述の山崎颯と宇田川をベンチ外とした中嶋の決断が英断と評されるのは、やはりその試合を取ったから。
この試合を落とした以上、この中嶋の判断はやはり継投ミスが妥当な評価。
この交代を「迷いなくっちゃ迷いなく」と試合後に語った中嶋ですが、将としてはそう語るしかない。
三人で終わらせた七回の田嶋のピッチングを観て、危ないと思っていたファンの方が少なかったはず。
たぶん中嶋は、田嶋を引っ張り過ぎて逆転を許したCSファイナルの印象、そして反省が(ファンが思っている以上に)強かったのではと想像します。
山本を信じ、中嶋を信じ
ここ2戦、策が裏目に出た中嶋。
ただまだ終わったわけでなく、本拠地に還って第6戦、そして第7戦。
(とりあえず)日本最後の登板となるであろう山本由伸に宮城大弥の両看板が控えます。
前回、前々回の失態あり、いつも以上に気合を入れてくるであろう山本由伸。
金子と違い、大事な試合で勝って築いた、真のエースの称号。