~オリックス、二軍大改革 の巻~
大改革
前監督が育成統括GMとなり、日本ハムから戻ってきた中島聡が二軍監督に就任。
さらには、新任の中垣征一郎育成統括GM補佐兼パフォーマンス・ディレクターも控える。
彼らの下、ファームの大改革に取り組み始めました。
オリックスの2軍が大改革を始めている。第1クールは、午後3時を超えたらコーチは見ているだけの方針を貫いた。その意図を中嶋聡2軍監督が説明した。
「やらされる練習より、自分で考えてやる練習の方が選手には身につくと思う。自分に何が足りないか。どんな練習が必要か。自分で考えてほしいからです」
打撃を集中的に行う特打や、守備練習の特守など、個別練習などは必要最小限。あとは選手の自主性に任せている。そのため練習メニュー表も、午後3時を過ぎるとほぼ白紙状態。早朝の早出練習も選手の自由だ。当初は不安にかられながら、マシン打撃を行う選手もいたという。本当に何をすべきか、よく分からない。選手からの要望がなければ、コーチは指導せず、球場を引き揚げる。これまで行われてきた夜間練習も基本は廃止し、希望する選手のみが自由にやる方針。同2軍監督は「決まった練習メニューだげをやると、コーチの良さも消してしまう。まずは、選手を見て、コミュニケーションを取ってほしい。選手も、次の日のためにという考え方もある。早く来て、こういう練習をしたいとか、色々考えて、準備の大切さも理解してほしい」と自主性を重んじた。(スポニチ)
自主性の尊重が奏功するには、選手個々の能力の高さが必要となってきますが、果たしてこのチームにそれは伴っているのか。
猛練習
答えは否。
体力・技術に加え、ここ一番で力を発揮できる精神力もない選手が一軍に多く、二軍であればなおさらのこと。
他球団の野手に比べ、線が細くスイングも弱々しい。
練習の絶対量の不足が私はその原因と思っており、それゆえ、西村新監督誕生に伴うキャンプ5勤1休への変更に激しく賛同しました。
以前の記事でも書きましたが、
落合監督一年目の猛練習がその後の中日黄金時代の礎となったのは、当時の選手が口を揃えて述べておりもはや真実。
古い話でいえば第一次長嶋政権での伊東キャンプも同じく。
論理や科学を超えた猛練習が成果を残している事実は、球史に確かに刻まれています。
なにかを変えなければ
自主性で思い出されるのが、魔の石毛監督時代。
監督からの指示を待つまでもなく選手自身で考えることができた常勝・西武のやり方を低迷の始まったオリックスに持ち込みましたが、結果大失敗。
今回の改革は育成を主眼とする二軍でのことであり主目的が異なりますが、果たしてどうなるか。
1996年の日本一以来低迷続くオリックスですが、下部組織である二軍がウエスタンを制したのも1997年が最後で、つまり育成も長きにわたって失敗に終わっているという事実がここにあり、なにかを変えなければという二軍スタッフの気持ちは痛いくらいに分かります。
中嶋聡+中垣征一郎
今回のこの改革を主導しているのは、中嶋聡新二軍監督でしょう。
現役引退後に日本ハムの提携球団であるサンディエゴ・パドレスにコーチ留学。
個・自主性が重視され、練習時間の短いMLBの指導法に感銘を受けたのだと思われます。
また、新任の中垣征一郎育成統括GM補佐兼パフォーマンス・ディレクターも前職はサンディエゴ・パドレス応用科学トレーナーで、中嶋をサポートするには最適な人物。
私的には、未熟な二軍選手だからこそコーチが練習メニューを組み、遮二無二練習させることが技術の上達には必須であると思っています。
ただ、自主的に考えて動けるようにすることもチームスポーツでは非常に重要なこと。
こうと決めたのであれば、結果がでるまで信じて貫いてほしい。
「故障させたらダメ」
中嶋の発言には納得いく点も多いのですが、よく分からなかったのが育成統括GMに就任した前監督の発言。
福良GMは「故障させたらダメ。ここにいる選手は1軍の選手ほどの体力はない。必要な練習はさせる。後は自主練習。何が必要か自分で考えさせる。選手は頭が疲れていると思うよ」(デイリー)
故障の心配が最初にきていますが、
故障を心配してぬるいキャンプを続けてきた結果、体力もたずシーズン終盤に故障者が続出し、シーズン回顧で故障者の多さを嘆くということを3年間続けたのが当の前監督。
別メニュー調整を許した中島や小谷野、金子がシーズンを完走したことはここ4年一度もありませんでした。
「ここにいる選手は1軍の選手ほどの体力はない」のは事実でしょうが、それならば、このような考えでどうやって一軍選手並みの体力がつくというのか。
日本ハムのように
故障に注意を払うのはもちろん大切なこと。
しかし臨界期というものがあり、鍛えるべき時期にしっかりと鍛えないと結局は余計に時間がかかります。
その臨界期はまさにファームにいる時期。
技術の習得もまずはプロの体をつくってから。
それにはやはり、やらされる・やるは別として練習です。
そして「故障させたらダメ」と故障に気を遣うのであれば、中継ぎ陣の酷使をやめてもらいたかった。
最後は前監督の愚痴となりましたが、
いままでのやり方で結果がでていないのですから、新しいことに挑むのは大事なこと。
時間がかかるやり方ではありますが、朝令暮改ではなく、長期スパンで行ってもらいたいものです。
中嶋、中垣、そして福良が所属した日本ハムのように。