~オリックス、安達・T、立ち上がる の巻~
疑問
2月7日、デイリースポーツの記事から。
安達へのインタビューをもとに構成された内容です。
「去年の今ごろはベッドの上でしたから。パソコンでキャンプの中継見てました。今は全然、問題ないですよ。もう誰も気を遣ってくれなくなりました」
照れ隠しのようにジョークを飛ばす。その横から通りがかった伊藤が「体、大丈夫ですか?」と心配顔で尋ねた。「うん、大丈夫」。ふとしたところで優しい言葉をかける。このチームのいいところだ。
野球人生すら失う可能性もあった昨春。
「全然、問題ないです」と語れるほどに回復してくれました。
優しさあふれる仲の良いチーム。
その雰囲気のよさは、試合を観ていても分かりますが、
それが闘争心、もしくは競争心の欠如に結びついているのもまた事実。
そんなチームに、
安達は疑問を抱きました。
封印
そんなチームを安達は変えたいという。冷たくなれと言うわけではない。厳しさを加えようというわけだ。
「このキャンプで笑顔は控えようと思ってるんです。T-岡田とも話をして、僕ら2人は特に。笑顔が悪いわけじゃないけど、厳しさというか、ピリッとしたところも必要なんじゃないかと思って」
確かに今年は、明るく和気あいあいとしていた昨年までの雰囲気と少し違う。暗いわけではない。どちらかというと、練習に打ち込んでいるように見える。
ミスをしたら照れくさそうに苦笑い。
その失敗を批判することも否定することもないまま、傷を舐めあう。
ミスが多いチーム、
傷を舐めあっていたほうがお互い楽ですから。
それではダメだと、
安達、そしてT が立ち上がりました。
改革
そういえば、今年から選手会長になったT-岡田もキャンプ前日にこんな話をしていた。
「なんとかチームを変えたい。去年は一つの負けに対する気持ちが軽いと感じた。“あーきょうも負けた”って淡々と受け入れているようだった」
安達とT-岡田は同い年。仲の良い2人の周りにはいつも笑顔があった。それがひたすらにまっすぐボールに向かっている。率先してチームの意識改革を進めているのだ。
敗色濃厚のベンチ最前列の特等席で、
ニコニコと笑顔で観戦するベンチウオーマー。
試合終わるとそそくさと荷物をまとめて、
われ先にベンチを後にする選手たち。
その姿、
幾たび観たことか。
まさしくTが言うように、淡々と。
完全最下位という屈辱を経て、
新選手会長T-岡田と、副選手会長の安達が、
腐れ切ったチームを少しでも変えようと、努力しています。
あの頃の阪急、
あの頃のオリックスには緊張感があったと、
多くの先人たちが語っています。
強かったあの頃。
あの頃を知らぬ二人の若者の新たな挑戦。
必ず成功してくれると、信じています。