~オリックス、レッドソックス・吉田正尚 の巻~
譲渡金1537万5000ドル、契約金5年総額9000万ドル
2018年、ポスティングが選手年俸・譲渡金総額方式となって以降、最高となる1537万5000ドルでレッドソックスへの移籍が決まった、オリックス・吉田正尚。
契約は5年総額9000万ドル。
譲渡金、年俸ともに、OPSを過剰なまでに評価するMLBにおいて、走攻守三拍子揃い移籍年にOPSがNPBトップであった鈴木誠也(広島)をも上回る高額契約。
侍ジャパンの四番も務めた筒香(横浜)の譲渡金が240万ドル、今季から日本に戻ってきた有原(日本ハム)が124万ドル。
吉田正尚へのレッドソックスの高い期待が窺えます。
打力一本勝負
走守がNPBの平均値よりも低い吉田がこれだけの評価を受けたのはもちろん、その打力ゆえ。
打力一本勝負のリスクはありますが、走守がいくら高くても評価されないのがMLBで、ゴールデングラブ受賞や盗塁王の選手が打撃型選手よりすぐにリリースされるはMLBの常で、ポスティングでいえば、打が明らかにMLBレベルに達していなかった菊池(広島)や西川(日本ハム)が成立すらしなったことでも明白。
メジャーはとにかく打。
それだけの打力、つまりメジャーでも十分に通用する打力(出塁率含む)が吉田にはあるとレッドソックスは評価し、私もイチローや大谷には及ばずも松井クラスの活躍もあり得ると考えています。
遅さを意識で補う
いろいろと言われる守備と走塁に関してですが、観ていて確かに上手くもないし速くもない。
ただ走塁面に関しては遅さを意識で補おうと常に意識しているのが目に見え、捕手がボールをこぼすとすぐに次の塁を狙う場面多々(刺されることも多いのですが)。
ベースランニングも決して下手ではありません。
十分に中レベル
守備に関していえば、NPBで中より下ではあるものの、MLB視点で比べれば十分に中レベルはあり。
ゴールドグラバーのアダム・ジョーンズのあの拙守は加齢、故障によるものとはいえ、日本に来る外野手で日本人よりうまい選手はほぼおらず、昨季でいえばラベロのレフトの守備力など誰がみても吉田以下。
守備に関しては上手い下手の二極化がNPBよりも顕著なのがMLBで、近年のレッドソックスでいえばベッツやJBJなどは超一流。
昨季のファムやベルドゥーゴとの比較となりますが、人工芝天然芝の影響がほぼない外野では環境変わっても、拙守でチームの足を引っ張ることもほぼないでしょう。
レフト94.5mにグリーンモンスター。
これも吉田に利するはず。
主砲・J.D.マルティネス
吉田と入れ替わりにチームを去ったのがチームの主砲で打点王1回、シルバースラッガー賞3回受賞のJ.D.マルティネス。
2018年、レッドソックス世界一の際にはOPS1.000超えと大爆発した右の強打者は、オプトアウトを行使せず契約満了まで在籍し退団。
2018年に締結したそのマルティネスの年俸が吉田と同じ5年契約で1億1000万ドル。
J.D.マルティネスの代役が吉田に託された責務。
吉田の高評価はここからも窺えますし、ドジャースから移籍のジャスティン・ターナーが2年2200万ドルで(年齢があるとはいえ)ターナーをも上回ります。
マルティネスの2018年の活躍の再現はさすがに難しくとも、それ以降のレベルならばレッドソックスの期待値同様、吉田ならば可能では。
高出塁率の礎となる選球眼に巧みなバットコントロールに日本人ではトップクラスのパワーも兼備。
2年連続リーグ制覇に日本一を置き土産に、日本最高バッターの新しい挑戦が始まります。