~オリックス、投手陣の力投で26年ぶりの日本一に王手! の巻~
山崎福也
2連勝で追いついての神宮での日本シリーズ第6戦。
先発は前回負傷降板の山本由伸回避で、中5日の山崎福也。
この山崎、神宮のマウンドが合うのか水を得た魚のように躍動し、5回/1安打無失点の好投。
初回の無死一塁はスライダーでバットを折り、四回の一死一二塁ではオスナに外チェンジアップを引っかけさせ(その後の中村の会心の当たりは幸運にも正面を突き)ピンチ脱出。
変化球のキレ抜群で、しかもバタバタせず落ち着き。
ちょっとピンチになっただけであたふたしていたかつての姿は面影すらないくらいに、堂々としたピッチングができていました。
チャンスでまわる杉本裕太郎
先制点は、吉田申告敬遠からの杉本の一打。
昨年からできるようになったライト方向への技ありのヒットで1点先取。
このシリーズ、とにかくチャンスでまわってくる杉本。
4回で1回結果残せば十分ながら、口さがないファンの記憶に残るは残りの3打席。
精神的にかなり辛いものがあるでしょうが、それでも今シリーズの打率は.261。
十分に働いてくれています。
日本一に王手
先制点を踏んだのは一番ファーストに抜擢した太田椋。
ここ2年、ファンが期待するほどの成長はみせていないものの、この日本シリーズでの活躍は来季こそと期待させるに十分(昨秋の日本シリーズでもそう思った気がしますが)。
そして九回、第5戦目と同じくマクガフが打球処理を誤り欲しかった2点目を貰い、代打・西野も犠飛を放ち3点目。
3点リードで勝てなかった過去は直近にあれど、新守護神のワゲスパックがその剛球で圧倒し、勝利。
2連敗からの3連勝で、26年ぶりの日本一に王手をかけました。
宇田川優希
殊勲打の杉本は確かにヒーロー。
しかし、やはり勝利の立役者は鉄壁のリリーフ陣。
1点リードした六回から継投に入り、一番からの好打順の六回には年俸450万円の大魔神・宇田川優希。
一番・塩見のバットがフォークに止まらず三球三振。
二死から山田、村上を歩かすも、上述の三・四番に比べ目切りの早いオスナにはフォーク連投からの高めボールのストレートでこのイニング2個目の三球三振。
真っすぐ、フォークともに打たれる気がしません。
ここにきて、宇田川の存在感はかなりかなり大きい。
平野佳寿
七回表、一応打席に入る準備はしていた宇田川。
頑固な中嶋ならば、2イニング投げさせれば(たとえ一年最後の試合になっても)次はなく、イニング考えても1イニングずつリリーバーを使うべきと不安に思っていたところ、さすがにここで交代。
七回裏は平野佳寿が上がり、三者凡退。
好調時の真っすぐではないなか、伏見の好リードも光りました。
山崎颯一郎
八回は山崎颯一郎。
同級生・宇田川の力投が刺激となったか、2者連続三振含む三者凡退。
宇田川、山崎颯の前に2打席連続三振となった塩見。
好調塩見を力でねじ伏せたところに豪腕ツインタワーの恐ろしさがあります。
ワゲスパック
そして九回はワゲスパックで、こちらはクリーンアップを圧巻の三者凡退。
真っすぐが強い分、阿部に比べて安心できます。
課題でもあった精神面にも改善がみられており、来季残留してくれればクローザーの筆頭候補。
3連勝で王手。
打線は明らかにヤクルトが上も、豪腕揃うオリックス投手陣(特にリリーバー)がそれを上回っています。
中嶋の配慮と英断
かなり強固だった2014年のリリーバーはシーズン後半に総じて息切れ。
それに比べ、ポストシーズンでもなおリリーバーが活躍しているのは(山崎颯一郎、宇田川はシーズン終盤からの登場も)、間違いなく中嶋の配慮のおかげ。
一つ変われば流れが変わると、宇田川、山崎颯一郎を2イニングずつ投げさせてシリーズ初勝利を掴むと、次戦は両投手をベンチにすら入れなかった中嶋。
チームの強化より投手の将来を選んだこの勇気ある決断が、残ったリリーフ陣の刺激と信頼となっての2勝目。
そして、休養十分の豪腕リリーフ陣がその球威で相手を圧倒させて掴んだ3勝目。
勝負所を逃さなかった名将・中嶋とその信頼に応え続けた投手たち。