～オリックス、七回二死無走者からの奇跡の大逆転でリーグ3連覇！ の巻～
山崎福の乱調
3連覇と本拠地胴上げのかかる大事な一戦のスターティングメンバーの中にあった、懐かしき名、T-岡田。
胴上げ投手にと個人的に願いながらもベンチを外れた平野の代わりというわけではないでしょうが、この大一番の舞台にTがいてくれることが心から嬉しく、試合前からテンションは大上がり。
先発を託されたのは、ここ3試合勝ち星なしと勝ち運がやや消えかけてきた山崎福也。
若月でダメなら森でと、コンビを変えてみたものの、4回2/3／被安打8と結果残せず。
好守もあり2点で済みましたが、一歩間違えれば試合を壊してもおかしくない内容。
東の台頭、田嶋復帰もあり、ポストシーズンでの先発は厳しくなってきました。
小木田の粘り
五回二死一二塁で山崎福に代わってマウンドに上がったのは、小木田敦也。
このピンチを西野のファインプレーで脱すると、回を跨いで2回1/3を無失点。
次の1点がどちらに入るかで決まりそうだったこの試合、内容はともかく点を失わなかったことが、その後の大逆転劇を呼び込みました。
東北人らしく、苦しくなってもじっと耐えての小木田。
その粘りは中継ぎとして非常に大事なこと。
8者連続出塁、6連打
ロッテ先発カスティーヨのキレのある変化球の前に手も足も出なかったオリックス打線の反撃は、回も押し詰まった七回。
とはいえ、先頭の三番・森、セデーニョと倒れてあっさり二死。
が、ここからなにかに導かれるように、8者連続出塁、四球挟んでの6連打で、一気の大逆転。
本拠地優勝に王手をかけた試合の記事（～オリックス、東晃平の無傷の6連勝で3連覇に王手！ の巻～）で、ロッテ側の2本の大きな当たりがフェンス手前で失速したのを、オリックスが本拠地で優勝するための野球の神の助けと記しましたが、中嶋も「奇跡のような繋がり方」と評したこの連打は、野球の神が導いたものとしか思えず。
杉本の激走
ゴンザレスの死球から始まったこの奇跡。
暴投で二塁に進み、粘った杉本の打球は投手の股間を抜けるセンター前ヒットで1点差。
一発出れば逆転という大チャンスで打席に入るは、T-岡田。
不調でもチャンスに回ってくる星の下に生まれたTを、我が息子もタオルを回しながら応援。
再びの暴投で杉本が二塁に進み、Tは敬遠気味のフォアボールで一二塁。
バッター紅林、ここで中嶋は二走の杉本を代えるか悩んだはず。
が、中嶋の決断は、ここ最近の杉本の好調ぶりやツキに賭け代えずにそのまま。
紅林の打球は一二塁間を抜け、杉本は迷わずゴーの激走。
ライトからのバックホームはストライク返球、足から滑り込んだ杉本とタッチはほぼ同時。
運命の球審のジャッジは、両手を大きく広げてセーフ。
ついに同点。
怒涛の猛攻
死球→暴投でスコアリングポジション→適時打。
暴投でスコアリングポジション→四球→適時打。
ロッテ側からすると自滅で浮足立ちエアポケットに入ったような、あっという間の同点劇。
オリックス側からすると、野球の神の存在を信じてしまうような、幸運込みの同点劇。
ここからは押せ押せで、野口がライト前に運び勝ち越し。
中川がセンターオーバーのツーベースで2点追加し、西野のライト前でさらに1点、そして森もツーベース。
まさに怒涛の猛攻。
これで試合を、そしてリーグ優勝、3連覇を決めました。
約束
八回は宇田川、九回は山崎颯一郎。
真っすぐで追い込んでからの自慢のフォークでゲームセット。
高々とグラブを放った山崎のもとに駆け寄る森を中心に選手が集まり、御大将・中嶋聡の登場。
大言壮語しない中嶋が珍しく口にした、超満員のファンの前での胴上げの約束を果たし、ファンはその姿に心から歓喜。
選手、ファンでともに、この3連覇を喜びました。
表彰式では、促す山岡とともにまるで中学生のようにこそこそと中嶋の背後に忍び寄り、顔前にそっとカメラを差し出した杉本。
一瞬驚くも、もちろんそのカメラに満面の笑顔で収まった中嶋。
このチームがなぜ強いのかが窺える、実にいいシーンでした。
野球の神様の正体
野球の神のおかげと書きましたが、近年続くこの奇跡を超常的なその一言で片付けるは、あまりにも安易。
信じられない出来事も、その大事をなしたのは、オリックスの選手達であり、チームをまとめた監督でありコーチ、スタッフ一同。
そしてその奇跡をなす選手たちの背中を押したのは、間違いなく、オリックスファン。
オリックスびいきの野球の神様がもしいるとすれば、それはたぶん、スタジアムであなたの横に座る、Bマークのキャップを被りタオルを振る少年であり、多種多様なオリックスユニを羽織った淑女であり、厳しくも優しい視線でグラウンドの選手たちに熱いエールを送る腹の出たおっちゃんであり。
3連覇、オリックスバファローズ。
我が愛すべき、素晴らしいチームです。
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